ハンス・カストルプは、スイス高原にある評判のサナトリウムで療養生活。なんでも「傾聴に値する」と考える真摯な態度ゆえに、毛色のちがった交際仲間ができ、様々な体験を通じて内面世界を豊かにしていく。価値観や性格、ふるまいを精妙に描いて個性を際立たせる技術。局限された状況で、人生という大パノラマを展開。映像文化をしのぐ筆力の極み。