三島由紀夫が『青の時代』でモデルにした山崎晃嗣の心の奥底を探る。東大生でヤミ金融光クラブの社長であった彼は、金策つきて青酸カリ自殺をする。その言動から、人に言えない「複雑な事情」もしくは「怨嗟」があったのではないかと推理をする。やがて浮上する<戦争>の影。三島はこの事実を十分知っていたうえで、あえて書かなかったのではないか、という気がする。それにしても、二人の自殺日が同じ日だったとは……。