東京で身を持ち崩し、無一物になった「私」は、流人たちの掃寄場のまち、アマへたどり着く。汚い老朽木造アパートの部屋に閉じ籠もり、毎日、焼鳥屋で使うモツ肉や鳥肉の串刺しをして、口を餬していたのだが‥‥。作者にとって、「私小説を書くことは罪深い振る舞いである。悪である。業である」。けれども、「己れの哀れな魂を救うために」書き続けねばならない、という。