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心に響くこの一冊

『職人学』


小関智弘 講談社

  「春は鉄までがにおった」という文章を書いたところ、匂うはずのない鉄を、匂ったと書くのは、「思い入れが過ぎる」と批判された。だが、長年工場で金属を削り続けている男たちは、鉄は匂うと言う。鉄、実は鋼には、カーボンや硫黄などのさまざまな夾雑物が含まれている。鋼を削った瞬間は500度くらいに灼ける。夾雑物がその熱で匂うのだ。50年間旋盤工としてものづくりの現場に従事した実体験に裏打ちされた言葉。


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