グルメ本ではない。東京人になりきって名古屋人をからかったり、ある大作家の文体をまねて猿蟹合戦に仕立てたりする。模倣作品という意味でパスティーシュ小説と呼ばれているらしい。このようなパロディーを低級とみなすむきもあるが、けっしてそうではない。何かをまねるには自己流の剽窃技術と本質を見抜く能力が不可欠だから。「学ぶ」の語源は「まねぶ」にある。