「親父は作家だろ、作家なら他人のことばかりカッコよく書いてないで、自分のことを書けよ、この家の地獄を」。息子の“注文”は、思わぬことで実現する。心の病に苦しんでいた当の息子が自ら命を断ったのだ。「不遜に対する天罰であろうか」と自問する著者が、「家族の罪滅ぼしの務め」として凄絶な思いでペンを執る。苛酷な経験を通して、脳死と臓器移植の問題についても大胆な提案をする。