1968年、4人を殺害して日本中を恐怖の坩堝に陥れた連続ピストル射殺事件。裁判における二つの精神鑑定は真っ向から評価が分かれ、判決も死刑と無期懲役の間を揺れる。しかし、永山のいう、資本主義社会における「下層の人々が犯罪を犯すのは、無知と貧困のため」という、“外部形成的”責任論は、裁判所や世間には通用しなかった。21年間におよぶ公判記録を基本的資料に書かれたノンフィクションノベル。