これまで「常識」とされてきた日本史像には、イメージの大きな偏りがあるようだ。日本史上「最大の転換期」が中世、南北朝期にあるとする網野史学。「人間と自然とのかかわり方の大きな変化」を背景に、ダイナミックに「転換期の諸相」を説き明かす。頑迷な精神の強張りを見事に弛緩させてくれる。「今日の常識に依存して歴史を解読」してはいけないのである。