47歳のシナリオライターは妻と離婚するが、友だち絡みで嫌な思いを引きずり、一種の鬱状態に。そんな時、12歳で死に別れた当時の父母とめぐりあう。読む者をして、「保護されているという快感」と甘美なノスタルジーに浸らせてくれる。ホラー話にしないで、言語表現上いかにしてリアリティーを維持させることができるか。文学の可能性への大胆な試み。