渥美 清(本名 田所康雄)は、「男はつらいよ」の寅さんの枠におさまるような単純な人物ではなかった。強烈な自信と上昇志向。一方では人間不信と奇妙な諦め。表面的には凄みと愛敬。ゆえに、誤解やバッシングも受ける。「他人を興味深く観察して、<滑稽さ>や<毒>を発見し、それを演技の糧にする」役者稼業は、ある意味アブノーマルを強いられるのかも。著者が実際に見聞きしたことや備忘録からなる人物伝。