明治から昭和初期にかけて、秋田県荒瀬村打当に生きたマタギたちの感動的物語。さまざまな掟や禁忌があるマタギの世界。それは、猟を生業とする男たちが、幾度も失敗を重ねながら作りあげ、洗練させてきた知恵でもある。村里にいるときは強欲な人間も、ひとたび山に入ると、山の神様を畏敬し、獣にも節度と礼儀を尽くす。先人は、自然の恵みの有限性をよく弁えていた。