石原莞爾。満州事変の立案者であり、実行者。しかしその後、支那事変の不拡大を主張する等、自ら導いた事態に反発し、懊悩の日々を送る。人格的容量が大きく、高い倫理観と人間的魅力を備えていた。この男の人生を通じて、「昭和」と「戦争」の歴史が、臨場感あふれる筆致で描かれている。学校の授業では、とかく手抜きとなりがちな昭和史。時代のうねりと新しい歴史認識をまざまざと提示する。