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心に響くこの一冊

『出家とその弟子』


倉田百三 新潮文庫

  ホントはすごい会話。唯円が問う。お経を読んでも心が躍らない、淋しく、死ぬのも恐い、どうしてか、と。親鸞は、「信心が足りないからだ」とは言わない。実は私も同じ。「病気の時は死を怖れ、煩悩には絶えず催され、時々は淋しくて堪らなくなる事もあります」と醒めた答え。それも凡夫のしるし。どれほど深い信仰を得ようと、人生の苦悩はつきないのだ。


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