人間は、ひたすら死に向かって生きねばならない。生きるために食べる。翻ってそれは、死ぬために食べるかのようでもある。死を目前にして、そうした生理現象を含め、思いのたけを赤裸々に語った随筆録。「死生の問題は大問題ではあるが、それは極単純な事であるので、一旦あきらめてしまへば直に解決されてしまふ」(『病牀六尺』)と、さらりとした覚悟もきめる。生死は自然現象だから眼中におくべきでないという諦観か。