社長誘拐にはじまって、食品会社への連続的脅迫、数名の犯行グループの存在、劇場型犯罪。今では公然となっている事件の裏にひそむ構図、裏取引、警察内部犯行説、株価操作等々。すべてグリコ・森永事件を下敷きにしている。にもかかわらず、ぐいぐいと読ませるのは、作者の博識と力量による。企業といえども、「絶対に外に漏らせない傷」は少なからず持っており、企業の危機管理は依然として最優先課題であり続ける。