北海道の鉄道会社に就職した主人公は、職務上の使命感と厚い信仰心により、自ら犠牲となって多くの人々の命を救う。勇気と覚悟の殉職である。少年期、青年期のエピソードは、すべて最後のクライマックスに収斂する。抑制の効いた文体が、かえって言葉の力を引き出し、カタルシスをもたらす。真の人間愛とは何か、人間の内在的価値を世に問う作品。