様々な事情を抱えて深夜の弁当工場で働く主婦パート。比較的高い時給だが、立ちづめのきつい作業。綿のように疲れる。昼間寝て、夜働くという家族とは反対の生活。やがて「絶望と自由への憧れ」や女同士の「連帯感」が境界を越えさせる……。這い上がる力を持たない者が陥りがちな現代の蟻地獄と、その中でもがくジレンマを見事に描ききった恐い小説。