黙々と日本列島のすみずみまで歩いて聞きとり調査を行った民俗学者の宮本常一氏。百姓然とした風貌と人の心をとろかすような笑顔でまことに聞き上手であったという。一方、その学問的業績を物心両面にわたって支援した実業家の渋沢敬三氏。人に対する細心の気くばりができる大器量人であった。生まれも育ちも違う二人がなぜ遭遇したのか、その足跡をたどる評伝。先達の慈愛に満ちた人間性に圧倒される。