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心に響くこの一冊

『悲の器』


高橋和巳 新潮文庫

 日本の刑法思想に大きな影響力をもつ某国立大学法学部教授は、家政婦から婚約不履行による損害賠償請求を提訴され、法律家としての名誉をかけて反撃を開始する。「個人の栄えと世の賛助の真ただ中」で起こる果てしない転落。いかに高学歴で法文を駆使できようとも、人間としての欲望や執着、悲哀や苦悩から逃れることはできないのだ。昭和という時代の精神史と日本文学の到達点を確認できる大作。


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