就業規則の法規範性と限界
Q. 労働紛争を、解決するためのインフラが飛躍的に充実してきました。わけても労働者には、労働基準監督署、労働局、労働審判あるいはユニオンなど、労働者が困ったときに駆け込める機関が揃っています。最近の労働者の権利意識も高まってきたような感じが‥‥。経営者サイドの相談先は限られており、最後の砦は就業規則くらいでしょうか。人事労務のリスクやトラブルを回避し、経営者や会社に有利になるような就業規則を作ることは可能ですか。 |
A. 労使のトラブルが起こったときの最終的な決着場所は裁判所です。就業規則の有効性や「合理性」の判断も裁判官に委ねられています。裁判官は、就業規則に対して、わりとシビアで覚めた見方をしています。就業規則は会社が一方的に作ったものであり、国の「法律」と違い、選挙や三権分立などの民主制の担保も何もないからです。今日の労働法制や判例法理は圧倒的に労働者に有利に出来上がっています。できることと、できないことを知ることも賢明なスタンスです。 |
◆有用性が肯定される領域 就業規則に規定がないとできないことがあり、3つのカテゴリーに分けられます。 ◆有用性が否定される領域
就業規則に定めることができないことや、たとえ定めがあったとしても制限を加えられることがあります。 |