Q.憲法の人権規定の圧倒的多くは、「何人も」とか「すべて国民は」と、権利の主体を広く定めています。ところが憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としており、権利主体を「勤労者」に限定。これは、労働三権の規定といわれ、労働法の土台を提供していると思われる条文です。憲法28条は、他の社会権とは異なり、複合的性格をもっているといわれています。その内容と法的性格を教えて下さい。
紛争解決制度・労使関係
Q.憲法の人権規定の圧倒的多くは、「何人も」とか「すべて国民は」と、権利の主体を広く定めています。ところが憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としており、権利主体を「勤労者」に限定。これは、労働三権の規定といわれ、労働法の土台を提供していると思われる条文です。憲法28条は、他の社会権とは異なり、複合的性格をもっているといわれています。その内容と法的性格を教えて下さい。
Q.労働組合法は、労働組合が労働条件について使用者と話し合いで決めるということを促進ないしは助成するという、団体交渉重視の法体系をとっています。その典型が、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒むことを不当労働行為として禁止していること(7条2号)。団体交渉をして妥結した結果を文書化したものが労働協約。労働組合法の立法理念は、労働協約が労働条件を決める最大で最も有効な手段になるのが理想的な姿だと捉えているようですね。
Q.2018年6月に成立した働き方改革関連法には、「中小企業に関する経過措置」が定められました。それによると、行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し、新労基法第36条第9項の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう「配慮する」ものとする、とあります。本年4月から残業時間の上限規制が始まった中小企業。労基署は私たちに対し、多少のお目こぼしをしてくれますか。
Q.ある新聞は、労使紛争の解決機関である労働委員会に、労働組合との団体交渉に不慣れな新興・中小企業の経営者が駆け込む事例が相次いでいる、と報道していました。背景には、企業側が社外の大規模な全国型労組や1人から加入できる地域の合同ユニオンといった労組との交渉に対応しきれていない、といった事情があるようです。労働委員会が労使の間に入って調整する「あっせん」という解決方法も見直されているとか。労働委員会とはどのような機関ですか。
Q.コミュニケーション能力が不十分で、たびたび従業員間でトラブルを起こす従業員に対し、退職勧奨を行いました。本人は了解した様子でしたが、地域の合同労組に相談に行き、駆け込み加入したもよう。組合からは、退職強要であり、実質的には解雇であることを理由として団体交渉の申し入れがありました。これまで労働組合や団体交渉とは無縁の中小企業です。突然の申し入れにとまどっています。どのような対応をすべきか、ご教示下さい。
Q.公務員については、法律は、「その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い」なければならない旨規定し(国家公務員法101条、地方公務員法35条)、厳しい職務専念義務を定めています。民間にそのような法律はありません。しかし実際の就業規則においては、「従業員は、業務上の指揮命令に従い、自己の業務に専念しなければならない」などの規定がおかれています。この職務専念義務とはどのようなものですか。
Q.2度目の過労自殺が明らかになった広告大手の電通。新聞報道等によると、昨年(2016年)10月14日に、東京労働局が抜き打ちで本社等に立ち入り調査を実施。11月7日には、本社と関西支社など3社に、労働基準監督官ら総勢88人による強制捜査が行われたとのこと。捜査を担うのは、一昨年発足した過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)。今回の強制捜査は、スピード、規模ともに、「異例中の異例」だとか。労働基準監督官は、捜査権限ももっているのですね。
Q.食品製造業を営んでおり、従業員は約20名おります。先日、労働基準監督官が突然会社にやってきて、賃金台帳、タイムカード、就業規則等の提示を求められ、調査を受けました。彼が言うには、所定労働時間を1分でも超えて労働したら、時間外労働になるとのこと。是正勧告書には、「2割5分以上の率で計算した未払いの割増賃金を、3か月遡及して支払う」よう記載されています。従業員に残業をさせた覚えはないのですが、どう対応すべきですか。
Q.平成13(2001)年に「個別労働紛争解決促進法」、平成16(2004)年に「労働審判法」が制定され、労働紛争を解決するためのインフラが飛躍的に整備、充実されてきました。労働者の権利意識の高まりと相まって、新たな法的規律が紛争を増加させる要因となるような気もします。これらの新旧労働紛争解決システムの全体像を俯瞰し、整理・分類して、各制度の特色を示していただくと、たいへんありがたいのですが。
Q.中小企業の経営者です。指導しても改められないので、成績が芳しくない営業マンに辞めてもらいました。すると、その人は合同労組に加入。組合からは、①解雇無効と撤回、現職復帰、②解雇から現在までの賃金の支払い、③在職時の残業代未払い請求等を議題に団体交渉の申し入れがありました。団交は3回に及び、組合から、一定額の金銭を支払うことを条件に、合意退職でもよい旨の打診を得ています。今後どう対応すべきか、悩んでいます。
Q.このたび労働組合の執行委員長として、はじめて労使交渉に臨みました。会社側は、賃金のベースアップのほか、降格ありの新賃金体系の導入と抱き合わせで協定書案を提示。組合としてはベアは合意で来ても、新賃金体系は受け入れがたい内容であり、労働協約として記名押印を保留中です。合意に達している部分についても、書面化されていない以上、労働協約としての効力は生じませんか。
Q.複数の音楽教室を運営している会社と業務委託契約を締結し、ピアノの講師をしています。契約は1年更新で、個人事業者として、毎年確定申告をしています。報酬は一定の計算式にもとづき会社から支給されますが、最近、一方的に切り下げられました。10人に満たない講師が労働組合を結成し、会社と諸条件について団体交渉をすることができますか。
Q.友人の会社では、労働組合の次期委員長と目されているやり手の組合役員が、定期異動で遠隔地の支店に転勤になりました。組合は、不当労働行為の不利益取扱いの疑いが濃厚であるとして、労働委員会に救済の申立てを検討しているそうです。この不当労働行為とはどのようなものをいうのですか。不利益取扱いであるかどうかは微妙な判断となりますね。
Q.労働組合を結成して20年が経過。この間、労使関係を運命共同体と捉え、様々な問題を平和的な話し合いで解決してきました。しかし最近になって使用者側は、労働条件改善要求を団体交渉の場でたびたび拒否。この局面を打開するためには、争議行為も辞さない覚悟です。労働者に保障されている争議権とは、どのような法的内容をもっているのですか。
Q. 最近では、争議等の集団的労使紛争が減少し、解雇、配置転換・出向、労働条件の引下げ、いじめ・嫌がらせ等の個別労働紛争が増加しているそうですね。紛争解決の最終的手段としての裁判は、時間と費用がかかり、当事者双方にとって大きな負担。今、労働局では、無料で迅速に職場のトラブル解決を手伝ってくれる制度が始まった、と聞いたのですが。
Q. 高齢者の在宅介護サービスを提供する民間企業で、ホームヘルパーをしています。経営者は介護保険制度の導入に伴い新規参入。しかし、ワンマン経営が甚だしく、業績不振です。そのしわよせが労働条件引き下げにきており、従業員の不満が高まっています。全従業員で構成する社員会を労働組合に改組したいのですが、どんな手続が必要でしょうか。
Q. 正社員5名、パートタイマー7名の従業員で食品製造業を営んでいます。先日、突然、労働基準監督官が会社を訪れ、賃金台帳や関係書類の提示を求められました。当日受けとった是正勧告書には、「残業協定なしで残業を行っていること、割増賃金の単価に皆勤手当が算入されていないこと、就業規則の届出がないこと」が指摘されています。どう対応したらよいですか。
Q. 売上げ不振による事業縮小のため、1年の雇用期間を定めた契約社員について、2度目の更新をせず、期間満了で雇止めとしました。その後、退職者は地域一般労組に相談に行き、労組に加入したもよう。組合からは、新たに組合員となった者の解雇撤回を求めて、団体交渉の申し入れがありました。このような団交要求にも応じなければいけませんか。
Q. 労働組合の上部団体で事務局を担当しています。最近では、非組合員を含め、ストライキ等の集団的労使紛争ではなく、解雇や賃金不払い等の会社と労働者個人の間で生じたトラブルの相談が増えています。ただ裁判を起こすとなると、期間も長くかかり、労働者側の負担も大変。労働審判制度の創設は、期待をもって見守っていますが、その概要を教えてください。
Q. 私が勤務している会社の特定の部署においては、サービス残業が横行し、これに不満な者は、解雇予告もなく即日解雇されています。会社全体に飛び火しそうな勢いであり、労働基準監督署に是正指導をお願いしようと考えています。解雇された本人でなくてもできますか。報復として会社から何らかの不利益な取扱いを受けるのではないかと心配です。