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これで解決!労働実務Q&A

労働契約・就業規則

  • 「労働法の基本原理と体系」
    Q.憲法、民法、刑法など、どんな法律にも、その核心的な価値ともいうべき基本原理があります。また、各法律を構成する特有の法体系というものもある。法律の全体像を把握することにより、各制度や条文がその法律の中でどのような位置づけにあり、他の制度との相互の関連性を知ることができます。一方、「労働法」という法律はありません。数々の法律の総称です。労働法の基本原理は何ですか。労働法の体系は、どのように捉えるのがよいですか。
  • 「労働者の損害賠償責任」
    Q.労働者が職務遂行上の過失により使用者に損害を与えた場合、債務不履行(民法415条)または不法行為(同法709条)にもとづく損害賠償責任が生じます。労働者が第三者に損害を与えると、使用者責任にもとづく損害賠償債務を履行した使用者から、労働者に求償されることもある(同法715条3項)。これが民法の一般原則。しかし、なんとなく不公平感を禁じえません。使用者から労働者に対する損害賠償請求や求償は、無制限に許容されるのでしょうか。
  • 「人事権」
    Q.企業実務においては、人事権という言葉はかなり定着していると思います。裁判所においても、人事権は使用者に所属する基本的な権利であると認めています。一方、人事権という概念については、意味があいまいで、定まった定義が確定しているわけではありません。というのも、人事権について規定した法律もありませんし、労働契約の条項に記載されることもないからです。あらためて、人事権とは何ですか。人事権概念が定着した要因は何でしょう。
  • 「成年年齢の引き下げと労働契約の締結」
    Q.わが国における成年年齢は、明治9年以降、20歳とされてきました。世界的には、成年年齢を18歳とするのが主流と聞いています。最近になって、公職選拳法の選挙権年齢などが18歳と定められ、国政上の重要な事項の判断に関して、18歳、19歳の若者を大人として扱うという政策が日本でも進められてきました。このたび民法の改正により、成年年齢が引き下げられたそうですね。いつから、どのように変更されたのですか。変更されないところもありますか。
  • 「副業・兼業」
    Q.会社で働きながら社外に職を持つ「副業」が普及しているとか。ただし現状は、「認めている」企業が22%、「認めていない」企業が78%(経団連「2020年労働時間等実態調査」)。企業規模別にみると、「5000人以上」規模では32%、「1000人~5000人未満」規模が25%、「300人~1000人未満」規模は17%、「100人~300人未満」規模は15%、「100人未満」規模で13%が認めています。規模が大きくなるほど、認める傾向があるようです。国の施策はどうなっていますか。
  • 「民法の一般条項と労働法」
    Q.民法は明文で次のような原則を定めています。①〈信義誠実の原則〉「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」(民法1条2項)。②〈権利濫用の禁止〉「権利の濫用は、これを許さない」(民法1条3項)。③〈公序良俗違反〉「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする」(民法90条)。これらの規定は、労働判例や労働法でたびたび登場し、散見されます。どうか俯瞰・整理してみて下さい。
  • 「民法と労働法」
    Q.このたび、会社の人事労務担当の職務に就くことになりました。大変素朴な質問をさせていただきます。労働法は、契約の自由の原則に対して修正を加えているといわれますが、そもそも契約の自由の原則は、どの法律のどこに書かれているものでしょうか。また、人事労務の問題の根底にあるものは使用者と労働者の間の権利義務関係であり、その権利義務関係を規律する基礎法が民法ですよね。民法と労働法はどのような関係にありますか。
  • 「個人情報取り扱いのルール」
    Q.個人情報を取得するときの基本的なルールは、あらかじめ利用目的をできるかぎり特定する、利用目的の範囲内で個人情報を取り扱う、個人情報は適正な方法で取得する、取得する際には利用目的の通知・公表等を行う、という4点。また、個人情報取扱業者は、法律上個人データの安全管理措置を講じる義務があります。このたび個人情報保護法が改正され、今年(2017年)5月30日に施行されると聞きました。法改正により何が変わり、注意することは何ですか。
  • 「就業規則の法規範性と限界」
    Q.労働紛争を、解決するためのインフラが飛躍的に充実してきました。わけても労働者には、労働基準監督署、労働局、労働審判あるいはユニオンなど、労働者が困ったときに駆け込める機関が揃っています。最近の労働者の権利意識も高まってきたような感じが‥‥。経営者サイドの相談先は限られており、最後の砦は就業規則くらいでしょうか。人事労務のリスクやトラブルを回避し、経営者や会社に有利になるような就業規則を作ることは可能ですか。
  • 「職務発明」
    Q.従来、従業員が職務で発明した場合、特許を受ける権利は発明者個人にありました。発明者は企業に利益をもたらした見返りとして、企業から対価を得ることになります。対価に納得できず、訴訟になることも。青色発光ダイオードの開発でノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏は2001年、対価を求めて元勤務先を提訴。200億円を認めた一審判決は世間を驚かせました(翌年8億円で和解)。この職務発明制度の見直しを含む特許法が改正されたそうですね。
  • 「営業秘密と人事労務管理対策」
    Q.IT技術の向上により多くの情報が電子化され、大容量のデータであっても持ち出しや共有化が可能となり、不正漏えいした営業秘密が転々と流通する危険性が著しく上昇。営業機密がいったん漏えいしてしまうと、インターネットを通じて瞬時に拡散してしまうリスクも高まっています。新日鐵住金の高性能鋼板に関する営業秘密がポスコに不正取得・利用される等の大型事案も顕在化。これらに対応する法整備の状況や人事労務管理対策をご教示下さい。
  • 「就業規則の周知義務」
    Q.当社では、常時10人以上の労働者を使用しているため、労基法上、就業規則の作成・提出義務があります。すでに労働者代表の意見書を添付して、所轄労働基準監督署へ届け出し、受理印もいただいています。就業規則は、内部文書として社外秘扱いなので、イザというとき出せるよう社長である私の机の引き出しに入れています。ある人に、そのような就業規則は無効である、と言われましたが、本当ですか。
  • 「研修費用返還の合意の適法性」
    Q.慢性的な人手不足状態にある介護施設を経営しています。今後も、介護サービスへのニーズは増加していくため、私たちの業界は、有能な人材を確保していくことが生き残りの条件。そのため、従業員には会社の費用により、外部の研修に積極的に参加させています。ただし、その従業員がすぐに転職してしまうと出費が無駄になってしまいます。一定期間の勤務を続けない場合はその費用を返還する旨の合意を結びたいのですが、何か問題がありますか。
  • 「秘密保持義務」
    Q.会社には、顧客情報をはじめとして、技術情報、財務情報、人事情報、個人情報など、重要な機密情報があります。これらの情報は、在職中あるいは退職した従業員を通じて社外に流出するリスクが想定されます。そこで多くの企業では、就業規則に在職中および退職後の守秘義務を定め、懲戒事由に「秘密の漏洩」を規定。会社と従業員とで秘密保護の誓約書を締結することもあります。退職した後も、これらの定め効力が全面的に及ぶのでしょうか。
  • 「就労請求権」
    Q.私の夫は、仕事が趣味のような職人気質の人で、56歳の今日まで会社一筋に働いてきました。夫にとって、仕事は生活の糧を得る手段であるだけでなく、心を磨き、人間性を高める場であり、生きがいそのものなのです。先日、社長から、「熟練者の仕事が減っており、給料は保障するので、しばらく自宅待機をしてもらえないか」という打診を受けました。これまでどおり、会社で働かせてもらえるように、社長に請求することはできませんか。
  • 「業務命令の根拠と限界」
    Q.このたび取締役兼業務本部長という大役を拝命しました。約20人の部下を指揮命令し業務を遂行する職制の地位の就いたことに大きな責任を感じると同時に、部下からの信頼を得なければならないと肝に銘じています。業務命令には、配転命令、出向命令、時間外労働命令あるいは社員研修への参加命令など、さまざまなレベル・内容のものがあります。業務命令の法的根拠はどこにありますか。業務命令の範囲や限界を画することはできますか。
  • 「労働契約法と就業規則」
    Q.昨年(2008年3月1日)施行された労働契約法は、本体の条文数がわずか19条と小ぶりな法律ですね。内容的な特徴としては、就業規則に関する規定(7条、9条~13条)が詳細で、突出しているという感じです。使用者が一方的に制定する就業規則と、労使の対等な合意を重視する契約原理との関係は、どのように理解すればいいのでしょうか。
  • 「労働契約法の今日的意義」
    Q.今年(平成20年)の3月1日から、労働契約法が施行されました。労働契約に関しては、既に民法(雇用契約)と労働基準法という法律があり、膨大な判例法理の積み重ねもあります。労働契約法は、わずか19条と小ぶりで、内容も判例法理を条文化したものと、他の法律から移行したものがほとんどです。今、立法化することに何か意味があるのですか。
  • 「起訴休職」
    Q.社員が会社から帰宅途中、駅構内で、口論をきっかけに、乗客に暴行を加え、警察に傷害容疑で現行犯逮捕されました。当時、会社のロゴマーク入りの制服を着用していたため、マスコミが社名を報道。現在、身柄を拘束されたまま起訴され、刑事事件として裁判に係属中です。就業規則では、無給の休職処分が可能のようです。何か問題がありますか。
  • 「兼業禁止」
    Q.ここ数年、わが社では賃上げはなく、賞与も縮小ぎみ。そのためかどうか、会社に無断で、アフターファイブにスナックのホステスとして働いたり、土日に運送会社でアルバイトをする者がいます。当社の就業規則では、「会社の承認を得ないで他に就職」すると、懲戒解雇する旨の規定があります。この両名について、懲戒解雇することができますか。
  • 「労働者への損害賠償請求」
    Q.当社の就業規則は、懲戒解雇等の制裁規定の外に、従業員が「故意または過失によって、会社に損害を与えた場合」に、損害賠償義務がある旨を規定しています。また採用の際には身元保証人を2人立てさせ、身元保証書を提出させています。会社が労働者本人や身元保証人に損害賠償請求するときに、制約はないのですか。留意すべきことを教えてください。
  • 「職場規範の優先順位」
    Q.ずっと営業畑を歩んできた私ですが、このたび人事課長の職位を拝命しました。当社には労働組合があり、会社と労働協約を締結しています。もちろん会社には就業規則があります。個々の社員は会社と労働契約を交わしているはずです。労基法など国の法令を含め、これらの職場に適用される諸規範の効力関係はどのように考えたらいいのでしょうか。
  • 「就業規則の機能と内容」
    Q.当社は、事業所向けコンピューターソフトの開発を行っており、正社員5名、パートタイマー3名を雇用しています。創業時から、“家族的雰囲気の明るい職場”づくりを志向してきましたが、ここにきて、従業員の始業・終業時間の扱いや服装等のルーズさが目につきはじめました。会社の決まりである就業規則を作った方がよいか迷っています。
  • 「就業規則の効力発生時期」
    Q.このたび就業規則を改定し、遅刻・早退を理由とする解雇の条件を、社員にとって厳しいものに変えました。社員には改定した旨を伝えたのみで内容は公表せず、労働基準監督署にも届出ておりません。それ以後該当者が出ましたので新規定を適用したいのですが、できるでしょうか。