うつ病と傷病手当金
Q. 当社の社員がうつ病と診断されました。特に業務上の原因は見当たりません。今後、長期欠勤が予測され、場合によっては休職もせざるを得ないと想定できます。当社の就業規則によると、有給休暇の消化後は、欠勤に対し賃金を支払わないことになっています。妻子があり、生計維持が心配です。健康保険の傷病手当金の請求ができますか。傷病手当金を受給中の社員が、休職期間を満了し退職した場合にも、傷病手当金は支給されるのでしょうか。 |
A. 傷病手当金とは、被保険者が保険事故である疾病または負傷により労務不能となり、給料を得られない場合に、その療養期間中の所得の保障を行う現金給付。連続して3日間会社を休み、4日目以降、休んだ日に傷病手当金が支給されます。傷病手当金を受給していた場合、退職後も引き続き傷病手当金を受給できます。筆者の事務所でも、最近、うつ病をはじめとするメンタルヘルス疾患による傷病手当金の請求事案が増加しており、労務管理の重要課題として浮上しているのを実感しているところです。 |
◆傷病手当金の支給要件 ①療養のために労務に服することができないこと ◆支給金額と支給期間および受給手続 傷病手当金の支給額は、従来、1日につき標準報酬日額の3分の2。平成28年4月から、不正受給防止等を目的に支給の基礎となる標準報酬の算定がやや見直されました。1日につき「直近12ヵ月の標準報酬月額の平均額の30分の1」の3分の2に変更されたのです。 ◆退職(資格喪失)後の給付 社員が退職しても、傷病手当金を受給していた場合、引き続き傷病手当金を受給できます。これを「資格喪失後の給付」といいます。ただし、この給付を受けられるのは、資格を喪失する日の前日(退職日)までに継続して1年以上被保険者であった人のみ。 |