有期労働契約の不更新条項
Q. 当社では、有期労働契約の従業員を契約社員、期間の定めのない契約の従業員を正社員と呼んでいます。1年契約を1回更新している契約社員のことで相談です。労務提供に特に問題はないのですが、雇止めしたいと思っています。更新時に、「次回は更新しない」旨の不更新条項を設けた場合、雇止め法理の適用を受けずに、契約期間満了と同時に雇用契約を終了させることができますか。従業員がこの条項を受諾し、署名押印した場合はどうなりますか。 |
A. 労働者が有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的理由が認められる場合、雇止め法理が適用されます(労契法19条2号)。雇止め法理が適用されると、雇止めに合理的理由があり、社会通念上相当と認められない限り、雇用関係終了の効果が否定されます(労契法19条柱書)。そこで、更新時に使用者が「次回は更新しない」と一方的に通告した場合、いったん生じた更新の合理的期待を遮断させることができるか、この通告を労働者が受諾した場合はどうなるか、が法的論点です。 |
◆使用者が一方的に更新限度を明示した場合 当初の有期契約締結時から更新限度が明示された場合には、その限度を超える雇用継続への合理的期待は、原則として否定されます。ただし、雇用継続を期待させるような使用者側の言動があった場合には、雇用継続への期待が発生する可能性があります。とりわけ労契法19条2号は、1号と異なり、反復更新を要件としていません。つまり、初回の不更新事例にも適用され得ることに注意が必要です。 ◆不更新条項を労働者が受諾した場合 雇用継続への合理的期待が生じていた有期契約労働者が不更新条項を受諾した場合は難問です。 ◆無期転換を避ける目的の更新上限特約 今年(2018年)4月から、有期労働契約が反復更新され通算5年を超えると、申込みにより無期雇用へ転換できる制度が本格化します。 |