企業の収益性と雇用
Q. しがない中小企業の経営者です。日本の社会は、企業の利益追求に対して、慨して否定的な反応を示すことが多いようです。とりわけ知識人や文化人と称する人たちは、利益をあげること自体にうさんくささを感じています。経営者は、自らの富を増やすために、従業員を安い給料でこき使っている、という人さえいます。日頃から従業員に対し、「高収益であるべき」と叱咤激励していますが、今一度、利益追求に確信をもてるヒントを下さい。 |
A. 私も若い頃は、会社の経営者は、労働者が生み出した剰余価値を搾取する人である、と考えていました。しかし今の仕事に就き、多くの経営者とつきあううちにその考え方は一変。会社で一番よく働くのは社長。一番よく勉強するのも社長。人間性を陶冶しているもの社長。尊敬できる人も少なくありません。経営者は会社経営に尽力することにより、将来にわたって経営を安定させる責任があります。そして従業員の雇用を守るため、会社は高収益であらねばならないのです。 |
◆企業はなぜ利益が必要か 企業はなぜ利益が必要なのでしょうか。 ◆雇用と利益の再吟味 昔、「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」という歌がありました。異論があるかもしれませんが、従業員に求められるのは、主としてルーチン・ワーク。 ◆利益獲得の指標と方法 京セラ、第二電電(現KDDI)の創業者である稲盛和夫氏は、「どんな企業であれ、売上高経常利益率(経常利益÷売上高×100)10%以上をめざすべき」とキッパリ。また経営とは非常にシンプルなもので、その基本は「いかに売上高を大きくし、いかにして使う経費を小さくするか」に尽きるとしています。財務管理の専門家が説く利益先取方式の公式(「売上高-目標利益=許容費用」)を凌賀し、利益の極大化をめざす点が凄いところです。 |