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労働実務Q&Aこれで解決!

説明義務と紛争解決

Q.

 現在、パートタイム労働法で、雇い入れ時の待遇の内容等に関する説明義務と雇い入れ後の待遇の決定にあたっての考慮事項に関する説明義務が、事業主に課せられています。また、パートタイム労働者の雇用管理の改善のための措置に関する事項について労使間で紛争が生じた場合、行政による裁判外紛争手続(行政ADR)の制度が設けられています。働き方改革関連法により、パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も適用対象となるそうですね。

A.

 働き方改革関連法では、有期雇用労働者を含めた非正規労働者の待遇に関する事業主の説明義務が強化されました。司法的な救済を容易にし、行政による裁判外紛争手続も整備され、労働者保護のインフラはさらに強固になったのです。事業主サイドからすると、説明義務への対応は、かなり難問。紛争になれば、合同労組や弁護士から書面で説明することも求められ、ADRや訴訟での重要な証拠とされます。改正法の施行日までに必要となる実務的対応策を整理しましょう。


◆待遇に関する事業主の説明義務

 現行のパートタイム労働法(以下「パート労働法」という)では、雇い入れ時の待遇の内容等に関する説明義務や、雇い入れ後の待遇の決定にあたっての考慮事項の説明義務を事業主に課しています。これに対し、新法となるパートタイム・有期雇用労働法(以下「パート・有期労働法」という)は、パートタイム労働者に加え、有期雇用労働者もその対象とし、説明義務も拡張しているのです。
 パート労働法は、雇い入れ時の説明義務として次の事項を掲げています(14条1項)。差別的取扱いの禁止(9条)、賃金の決定(10条)、教育訓練の実施(11条)、福利厚生施設の利用(12条)、通常の労働者への転換(13条)。これらの事項に関し、事業主は、自社が講ずることとしている措置の内容を説明しなければなりません。
 パート・有期労働法は、説明事項にいわゆる「均衡待遇」を保障する不合理な待遇の禁止(8条)を追加しました。
 現行のパート労働法14条2項には、労働者からの求めに応じて、次のような待遇の決定にあたって考慮した事項の説明義務を定めています。労働条件の文書交付等による明示(6条)、就業規則作成・変更時の意見聴取(7条)、雇い入れ時の説明義務と同様の事項(9条~13条)。
 改正後のパート・有期労働法14条2項では、均衡待遇である不合理な待遇の禁止(8条)について講ずる措置を決定するにあたり考慮した事項とともに、パート・有期労働者と通常の労働者との「待遇の相違の内容及び理由」の説明義務が加えられました。
 さらに、改正法14条3項には、パート・有期労働者が、同条2項の説明を求めたことを理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止を明記しました(従来は、パートタイム労働指針に明示)。


◆行政による裁判外紛争手続の整備

 事業主による説明義務の強化の趣旨は、非正規雇用労働者と正規雇用労働者との待遇格差に関する情報を事業主から得られるようにし、不合理な待遇差の是正を求める労働者の司法的な救済を容易にすること。
 しかし、裁判による是正は、経済的・時間的な負担を伴います。このため、改正法では、より救済を求めやすいように行政による裁判外紛争解決手続の整備が行われました。有期雇用労働者も適用を受けます。
 その1は、行政による履行確保措置。厚生労働大臣が雇用管理の改善を図るため必要があると認めるとき、事業主に対し、報告徴収・助言・指導等を行います(パート・有期労働法18条)。
 その2は、行政による裁判外紛争解決手続。現行法上、紛争解決手続の対象外とされている均衡待遇規定に関する紛争や、改正により新たに追加された待遇差の内容・理由の説明義務に関する紛争が加えられ、労働者の救済を幅広く対象としています(パート・有期労働法22条~26条)。

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