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労働実務Q&Aこれで解決!

労働委員会による紛争解決

Q.

 ある新聞は、労使紛争の解決機関である労働委員会に、労働組合との団体交渉に不慣れな新興・中小企業の経営者が駆け込む事例が相次いでいる、と報道していました。背景には、企業側が社外の大規模な全国型労組や1人から加入できる地域の合同ユニオンといった労組との交渉に対応しきれていない、といった事情があるようです。労働委員会が労使の間に入って調整する「あっせん」という解決方法も見直されているとか。労働委員会とはどのような機関ですか。

A.

 労働委員会は、労働紛争解決について主として次の3つの機能を果たしています。1つは、不当労働行為からの労働者や労働組合の救済。2つは、労働関係調整法による労働争議のあっせん、調停、仲裁という労働争議の調整。3つめは、個別労働紛争解決促進法による個別労働紛争のあっせんです。厚生労働大臣が所轄する中央労働委員会と都道府県知事が所轄する都道府県労働委員会があり、中労委は、大型紛争の処理と都道府県労委の二審機能を有しています。


◆労働委員会の組織

 労働委員会は、集団的労使紛争を中心とした労働紛争の解決や調整を主たる役割とする独立の行政委員会です(労組法19条、20条)。
 労働委員会の種類としては、国の機関である中央労働委員会(中労委)と、都道府県ごとに設置された都道府県労働委員会(都道府県労委)があります。
 両者の関係は、最高裁と下級裁判所との関係に似ています。中労委の策定した規則は都道府県労委を拘束しますし、不当労働行為救済申立てに対する都道府県労委の判断を不服とする申立人(被申立人)は、中労委に再審査の申立てをすることができるのです。
 労働委員会は、公益を代表する委員(公益委員)、使用者を代表する委員(使用者委員)、労働者を代表する委員(労働者委員)各同数をもって組織されます。これは三者構成と呼ばれ、公益委員に加えて労使の各委員が関与することにより労働争議の自主的解決を促進するとともに、労働関係における専門的知識経験を活用する趣旨があります。


◆労働委員会の機能

① 不当労働行為審査手続
 労組法7条は、不当労働行為として3類型を定めています。第1は、労働組合への加入・結成および組合活動をしたことを理由とする不利益取扱い(黄犬契約、報復的不利益取扱いを含む)。第2は、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒む団交拒否。第3は、労働組合の結成・運営に支配・介入する支配介入。
 労組や労働者から不当労働行為の救済申立てがされると、労働委員会では調査、審問、公益委員会議などの準司法的審査手続により、不当労働行為の成否を判断。救済命令か棄却命令を発します。審査の途中で労働委員会が和解を勧告し、和解が成立することにより審査手続が終了することも多いようです。
② 労働争議の調整
 労働関係調整法は、当事者による労働争議の自主的な解決を援助するため、労働委員会による労働争議の調整制度を定めています。
 労働委員会による争議調整の主な方法は、あっせん、調停、仲裁の3つ。最も良く利用されているのがあっせんです。
 あっせんは、あっせん員が労使双方の主張をよく聞いて、互いの歩み寄りを促し、解決の道筋を提案する方法です。あっせん手続は、申請にもとづき、労働委員会の会長があっせん員を指名することにより開始。あっせん案を示すこともありますが、それに応ずるかどうかは当事者の自由。受諾すれば解決。解決の見込みがなければ打切りとなります。
③ 個別労働紛争の解決援助手続
 個別労働紛争解決促進法が、地方公共団体に個別労働紛争の解決促進のために必要な施策を推進するよう努めることを要請したことから可能になりました。各都道府県の労働委員会が都道府県知事の委任を受けて、事務を執行するのが一般的です。

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