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労働実務Q&Aこれで解決!

高度外国人材

Q.

 厚労省によると、2019年10月末時点で、約166万人の外国人が日本で就労(「外国人雇用状況の届出状況」令和元年10月末現在)。在留資格別にみると、「身分に基づく在留資格」(「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」)が全体の32.1%。次いで、「技能実習」23.1%、「資格外活動(留学)」を含む「資格外活動」22.5%、「専門的・技術的分野の在留資格」19.8%となっています。「高度外国人材」とは、どのような人材ですか。

A.

 「高度外国人材」という在留資格はありませんし、法律上の定義もありません。一般的に高度外国人材とは、上記で19.8%を占めている「専門的・技術的分野」と呼ばれる在留資格で働く人々を意味しています。在留資格でいうと、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興業」、「介護」、「技能」、「特定技能」が該当します。


◆出入国管理システムと在留資格

 外国人の入国・在留を許可するかどうかは、国家の自由裁量によって決定できるとする取扱いが、国際慣習法として確立しています。最高裁判所も、「憲法上、外国人は、我が国に入国する自由を保障されているものではないことはもちろん、所論のように在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものでもない」と判示しています。(最判昭53・10・4 マクリーン事件)。広範な行政裁量が入管業務の特質です。
 わが国に入国・在留する外国人は、原則として、入管法に定める在留資格のいずれかを有する必要があります。在留資格は、多岐にわたる外国人の活動等をあらかじめ類型化し、どのような活動であれば入国・在留が可能であるかを明らかにしたものです。2019年4月以降、日本では29種類の在留資格が存在します(入管法別表第一および第二)。


◆高度外国人材の受け入れ手続

 高度外国人材の受け入れ手続きは、次のような流れになります。採用戦略の明確化→社内の受け入れ体制の整備→募集・内定者の決定→労働条件の明示・雇用契約の締結→在留資格のための手続→入社後の手続。
 就労のために必要な在留資格を取得する手続は、原則自社で対応します。困難な場合は、申請取次行政書士か弁護士に委託することになります。手続は2つのパターンに分かれます。
 現在海外にいる外国人材を採用する場合は、自社を管轄する地方出入国在留管理局または出張所に「在留資格認定証明書交付申請書」を提出(入管法7条の2)。本人に在留資格認定証明書を送付し、本人が在外公館で査証(ビザ)を取得して入国します。
 すでに日本にいる外国人材を採用する場合は、外国人材の住所地を管轄する地方入国在留管理局または出張所に「在留資格変更許可申請」を提出して行います(審査要領)。


◆高度外国人材の主たる在留資格

① 「技術・人文知識・国際業務」 私たち実務家は、「技(ギ)・人(ジン)・国(コク)」と略称。「専門的・技術的分野」で最も利用されている在留資格です。大卒程度の学歴があることと、日本人と同等額以上の報酬を受けることが重視されます。機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者等が該当。
② 「経営・管理」 文字どおり会社の経営者や管理者の在留資格。会社が営利活動を行っており、実体があれば取得は困難ではありません。ただし、企業規模が小さくなるほど、立証資料や疎明資料の追加を求められます。
③ 「高度専門職」 高度人材ポイント制を採用。学歴、職歴、年収などの項目ごとにポイントを設け、一定点数(70点)に達した場合に付与されます。1号と2号の2種類があり、在留期間「5年」や「無期限」のほか、配偶者の就労可、親の帯同可、永住許可要件の緩和など、様々な優遇措置があります。

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