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労働実務Q&Aこれで解決!

テレワーク

Q.

 柔軟な働き方を促進するものとして、テレワークは「働き方改革」の目玉の1つに位置づけられてきました。そのような中にあって、コロナウイルスの急激なまん延や国や自治体による外出自粛要請などにより、感染リスクを回避する危機対応として、大企業を先頭にテレワークヘのシフトが一斉に進んでいます。テレワークを導入すると、タイムカード等を用いての労働時間管理は困難になります。労働基準法やその他の法律の適用はどうなりますか。

A.

 テレワークに関しては、現在「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」(平成30年2月22日)が策定、公表されています。つまり、新たな立法等によるテレワークのための法整備がなされるには至っていません。したがって、テレワークを行う場合であっても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法等は通常の労働者と同様の条項が適用され、労働者災害補償保険法等の社会保険についても同じように扱われます。


◆勤務場所の柔軟化と多様化

 テレワークとは、インターネットなどの情報通信技術(ICT)を利用して、従業員が時間や場所を有効に活用する柔軟な働き方をいいます。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策としても、推奨される働き方です。
 先のガイドラインは、テレワークを次の3つの形態に分類しています。その1は、従業員の自宅で業務を行う在宅勤務。その2は、通常の勤務場所以外に設けられたオフィスを利用するサテライトオフィス勤務。その3が、就業者が臨機応変に選択した場所で業務を行うモバイル勤務です。
 労働者にとっては、通勤時間の短縮とこれに伴う心・身の負担の軽減、家族と過ごす時間や趣味の時間が増える、集中力が増して仕事の効率が良くなる、育児や介護と仕事の両立が可能となる等のメリットがあります。
 企業サイドにとっても、非常時に感染リスクを抑えつつ事業の継続ができる、通勤費やオフィス維持費を削減できる、優秀な人材確保や雇用継続につながる、資料の電子化や業務改善の機会となる等の利点があります。
 テレワークが円滑に実施されるためには、企業や管理職による適切な労務管理が重要となってきます。加えて、従業員の1人ひとりが、仕事の進捗や時間の使い方などについて、自律的にマネジメントする能力を向上させることが必要です。


◆テレワークの実施と労働時間管理

 テレワークを導入した場合であっても、会社は労働者の健康確保の観点から、労働者の勤務状況を把握し、適正な労働時間管理を行う責務があります。
 労働時間の管理は、パソコンの使用時間を記録化するなど、客観的な記録を用いて行うことが求められていますが、それができない場合は、従業員の自己申告制によることも可能です。
 テレワークによる在宅勤務の労働者に対して、事業場外のみなし労働時間が適用されるか否か。労働基準法は、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で勤務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす」と規定しています(38条の2第1項)。
 ガイドラインは、「使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難」に該当するためには、①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと、および②随時使用者の具体的指示に基づいて業務を行っていないこと、の2要件を満たすことが必要としています。
 会社が情報通信機器を用いて、指示を出せる状態にあり、従業員が会社からの指示に備え、通信を待っているもしくは指示に従い作業をしている場合には、要件に該当しません。勤怠管理や業務の可視化による業務改善、業務評価が可能なソフトウェアやツールの導入により、ますます、あり得ないことと考えます。

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