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労働実務Q&Aこれで解決!

介護保険の仕組み

Q.

 厚生労働省は今年(2021年)の5月、2021~23年度の65歳以上の介護保険料が全国平均で月6,014円になると発表しました。18~20年度に比べて2.5%上昇し、初めて6,000円を超えたとのこと。高齢化に伴い介護保険料は年々上昇し、制度が始まった00~02年度の2倍以上になる、とか。2000年4月に始まった介護保険。誰が加入し、費用負担や保険料がどういうルールで決まり、どう支払うのか。介護が必要となった時の手続等々。介護保険の基本的な仕組みを教えて下さい。

A.

 介護サービスにかかる費用は利用者が原則1割負担し、残り9割は税金と介護保険料で半分ずつ賄います。保険料は40歳以上に支払い義務があり、65歳以上の人が支払う保険料は3年に1度、自治体ごとに見直すことになっています。高齢化が進めば介護サービスを使う人が増え、保険料は上がりやすくなるのです。65歳以上の人口は、2020年に3,600万人となり、この20年間で1.6倍に膨らんでいます。ちなみに、00~02年度の平均支払額は2,911円でした。


◆社会保険方式の採用

 介護保険は、従来の保健・医療・福祉に分かれていた高齢者の介護施策を統合し、介護が必要となってもできるだけ自立した日常生活が営めるよう、効率的で一体的な介護サービスの提供をめざすものです。
 そもそも保険とは、同じような危険にさらされた人たちが大勢集まって、あらかじめ保険料を納め合い、誰かが現実に事故に遭遇したとき、集めた保険料の中から約束した給付を行うことにより、危険に備え、危険を分散する仕組みです。
 社会保険は、国が相互扶助を目的として、保険技術を作って法律で加入や給付を義務づけて創設した公的保険制度。とりわけ、給付と負担の関係が明確なので、介護のための新たな負担を国民に納得してもらいやすく、財源を確保しやすいという特長があります。高齢者は、後ろめたい「措置」制度という重しがとれ、権利意識を持ちやすくなりました。


◆保険者・被保険者・保険料

 まずは、保険者。誰が介護保険を運営しているのか。それは、住民に一番身近な自治体である市町村(特別区を含む)です。
 つぎに、被保険者。社会保険は制度に加入して被保険者であることが給付の前提。介護保険の被保険者は、その市町村に住所のある40歳以上の人です。
 ただし、年齢により次の2種類に分けられます。その1は、65歳以上の第1号被保険者。その2は、40歳以上65歳未満の第2号被保険者。この2種は、保険料の計算や納め方、サービスの受給要件に違いがあります。
 その保険料の決め方と納め方。第1号被保険者の保険料は、所得段階別定額保険料といって負担能力に応じ市町村が算定。保険料はその人の老齢年金等から天引き。これに対し、第2号被保険者の保険料は、医療保険と同様の方法で医療保険の保険者が算定。同じく保険者が、医療保険の保険料と併せて徴収します。


◆要介護認定と保険給付

 介護保険の給付を受けるには、市町村の要介護認定を受けなければなりません。これが医療保険と異なるところ。要介護認定は、市町村に設置される介護認定審査会で行われます。審査は全国一律の要介護認定基準によって行われ、公平な給付が担保されています。
 介護保険で受けられる給付は、要介護の人に対する介護給付と要支援の人に対する予防給付に分けられます。
 給付されるサービスは、施設サービス、居宅サービス、地域密着型サービス、居宅介護支援、介護予防支援です。
 施設サービスのうち、介護保険で入所できる施設は、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、老人保健施設、介護医療院の3種類。居宅サービスには、主なものとして訪間サービス、通所サービスおよび短期入所サービスがあり、医師等が訪問する居宅療養管理指導なども含まれます。

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