労働協約の効力
Q. 労働組合法は、労働組合が労働条件について使用者と話し合いで決めるということを促進ないしは助成するという、団体交渉重視の法体系をとっています。その典型が、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒むことを不当労働行為として禁止していること(7条2号)。団体交渉をして妥結した結果を文書化したものが労働協約。労働組合法の立法理念は、労働協約が労働条件を決める最大で最も有効な手段になるのが理想的な姿だと捉えているようですね。 |
A. 確かに、わずか18ヵ条に過ぎない労働組合法(労働委員会制度を除く)において、労働協約については、14条から18条までの5ヵ条が置かれています。労働協約は、団体交渉の成果そのものであり、労使自治を促進すべく、労働協約に特別の効力を付与しています。その代表的なものが規範的効力と一般的拘束力。ただし、14条の条件を満たさないと、16条から18条の特別な権限が与えられないという構成。労働協約は、書面にすることと、両当事者が記名・押印することが必要です(14条)。 |
◆労働協約の規範的効力と債務的効力 労働組合法は、労働協約に、これに反する労働契約の部分を無効とし(強行的効力)、無効となった部分および労働契約に定めがない部分を補う効力(直律的効力)を認めています(16条)。この労働協約の労働契約に対する強行的・直律的効力を「規範的効力」と呼んでいます。 ◆労働協約の一般的拘束力 規範的効力は、協約締結組合員の労働条件に対して強行的・直律的効力を及ぼすものですが、一般的拘束力は、規範的効力を所属組合員以外(未組織労働者および少数組合員)へ拡張適用して効力を及ぼします。 |