憲法28条と労働三権
Q. 憲法の人権規定の圧倒的多くは、「何人も」とか「すべて国民は」と、権利の主体を広く定めています。ところが憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としており、権利主体を「勤労者」に限定。これは、労働三権の規定といわれ、労働法の土台を提供していると思われる条文です。憲法28条は、他の社会権とは異なり、複合的性格をもっているといわれています。その内容と法的性格を教えて下さい。 |
A. 日本国憲法における労働基本権の保障は、他の国の憲法と比べて、もっとも徹底したものといわれています。とりわけ争議権を憲法上明定している例は少なく、明文上の規定があるとしても「法律の範囲内」で認められるのが普通なのです。労働基本権の内容とか法的性格については、憲法に直接書いてあるわけではありません。憲法28条の具体的中身については、主として労働組合法に展開している規定や法解釈をみていくことが必要です。 |
◆労働基本権の内容 憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」と定めています。 ◆労働基本権の法的性格 第1は、自由権としての性格。労働基本権は、権利行使に対する国の干渉を排除しうるという意味において自由権的性格を有しています。「正当な」争議行為には刑事責任が科せられないという刑事免責は、この趣旨を明らかにするものです(労働組合法1条2項)。 |