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労働実務Q&Aこれで解決!

退職後の健康保険

Q.

 今の会社に勤務して20余年が経過。地方都市に住んでいても、インターネットを介せば楽に仕事ができるという環境も整ってきました。プログラマーで独立し、フリーランスとして起業をめざしています。もちろん、煩わしい人間関係から脱却し、自分に合った自由な働き方をしたい、というほのかな期待もあります......。気になるのは、退職後の健康保険、これまでは、会社の総務にまかせっぱなしで、皆目それらの知識がないのです。

A.

 フリーランスになった後は、細かな事務仕事もすべて自分で対応する必要があります。退職後の健康保険については、3つの選択肢があります。決断のポイントは納める保険料と給付の内容。その1は、家族が加入している健康保険の被扶養者になること。保険料ゼロが魅力。その2は、退職前の会社の健康保険に引き続き加入する。任意継続被保険者といいます。その3は、住んでいる市区町村の国民健康保険に加入すること。退職者の保険料は、高くなることが多いのが実情です。


◆健康保険の被扶養者になる

 健康保険の被扶養者となる最大のメリットは、健康保険料がゼロになることです。被保険者の保険料は、原則として4月、5月、6月に支払われた本人の給与によって決まり、被扶養者の数などは考慮されることはありません。
 配偶者や子ども、親などの家族が健康保険の被保険者で、主としてその家族に生計を維持されている場合は、被保険者の扶養家族として健康保険の被扶養者になります。
 被扶養者として認定される条件は、年収が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)で、かつ、被保険者の年収の半分未満であること。
 ここでの収入は、過去の実績ではなく、これからの1年間の見込み収入で判定されます。また税金上の扶養判定とは異なり、雇用保険の失業給付も収入にカウントされるため、失業給付を受けている間は、原則として扶養に入ることはできません。


◆退職前の会社の健康保険に引き続き加入

 次に検討するのは、「任意継続被保険者」になること。加入できる期間は2年間。扶養する一定の家族も健康保険の給付を受けられます。
 加入の条件は、退職日まで継続して2ヵ月以上被保険者であった人が、退職日の翌日(資格喪失日)から20日以内に、保険者に「資格取得申出書」を提出することです。
 在職中の健康保険料は労使折半ですが、任意継続被保険者の保険料は全額本人負担。つまり、2倍になります。
 ただし、その基準は、退職時の本人の標準報酬月額か、加入している健康保険被保険者全体の平均標準報月額(協会けんぽは上限30万円)のいずれか低い額になります。
 現在加入している健康保険が「健康保険組合」や「共済組合」の場合は、高額療養費の自己負担がさらに減額される付加給付があり、給付面でのメリットがあります。


◆市区町村の国民健康保険に加入

 上記の2つの手段、健康保険の被扶養者になるか、任意継続被保険者になることが該当しないとされた場合、国民健康保険に加入するしかありません。
 これまで加入していた健康保険の資格喪失証明書や雇用保険被保険者離職票等を添付して、市区町村の窓口に、国民健康保険被保険者適用開始届を提出します。国民健康保険料は、加入する家族の前年所得と人数をもとに計算されます(市区町村ごとに異なる)。保険料(保険税)は、家族の分を含めて世帯で決定され、世帯主が納付します。
 国民すべてが何らかの公的な医療保険に加入する世界でも稀な国民皆保険。勤め人とその家族はすでに被用者保険に加入しています。そこで、これらの公的な医療保険のどれにも加入していない人たちは、国民健康保険を「受け皿」にするという仕組みにより、国民皆保険が成り立っているのです。

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