年休の買上げ
Q. 未消化の年次有給休暇は、実務では労基法上の2年の消滅時効(発生から2年で消滅)に属し(115条)、1年に限り繰り越しが認められます。このたび、ベトナムの外国人技能実習生が、法定の3年間の技能実習を修了し、退職することになりました。実習生は、未消化となっている15日分の年休について、会社に買上げを請求。ベトナムの労働法では、未消化分の買取りを求めることができるようです。どのように対応したらよいでしょうか。
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A. 年次有給休暇の買上げは、年次有給休暇を与えた趣旨に反するため、原則として違法であり、認められていません。これに対し、年休が退職や時効によって消滅した場合の、いわゆる「事後の買上げ」については、労基法39条に違反しないとする見解が一般的です(ただし、これも違法、無効とする有力な見解もあります)。違法ではないとしても、使用者に買上げの義務があるわけではありません。日本の法律では、買上げを行うか否かは、使用者の自由です。 |
◆未消化年休の事前の買上げ 労働基準法は、労働者の心身の疲労回復を図り、今日ではゆとりのある生活の実現に資するという趣旨から、週休日の保障のほかに、毎年一定日数の有給休暇を与えることを規定しています(39条)。 ◆未消化年休の事後の買上げ 問題となるのは、労働者が年次有給休暇権を行使せず、その後退職や時効等の理由でこれが消滅するような場合に、残日数に応じて調整的に金銭を支払う、いわゆる「事後の買上げ」をどう考えるか。 |