憲法27条の基本理念
Q. わが国の最高法規である憲法には、労働法の土台を体系的に提供している条文が2つあります。1つは27条であり、もう1つが28条です。この2つの規定は、憲法25条に定められた「生存権」を労働関係において具体化された社会権であると理解されています。憲法28条は、労働三権もしくは労働基本権を定めた有名な規定。もう一方の憲法27条は、28条と比べて地味な規定という印象があります。憲法27条の法的意義は、どのような点にありますか。 |
A. 憲法27条1項は、勤労の権利と義務を定め、2項、3項は、勤労条件の基準の法定と児童の保護を定めています。どれも大事な規定ですが、最も画期的な規定は、憲法27条2項です。どうして画期的かというと、労働条件の決定については、当事者の合意に任せず、国が直接介入するとしているから。労働条件の最低基準を法律で定めるというのは、市場経済の原則を労働条件については採用しないと宣言しているのです。市場原理への重大かつ貴重な制約なのです。 |
◆勤労の権利・義務 憲法27条1項は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と規定しています。 ◆勤労条件の基準の法定 つづいて憲法27条2項は、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」と規定しています。 ◆児童酷使の禁止 「児童は、これを酷使してはならない」(憲法27条3項)。 |