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労働実務Q&Aこれで解決!

社会保険と民間保険

Q.

 中小企業で、毎月の給与計算事務を担当しています。12月は、見込みで納付していた所得税と、実際の税額との精算手続である年末調整の時期。給与計算事務の集大成ともいうべきイベントです。社員からは、各会社から送付されてきた保険料控除証明書を添付してもらい、保険料控除申告書を預かり、下準備が終了。毎年思うのは、実に多くの人が様々な民間保険に加入し、少なくない保険料を支払っていること。感心します。社会保険と民間保険の共通点や相違点を教えて下さい。

A.

 社会保険も民間保険も、保険という技術を用いた社会的仕組み。ともに様々な危険から私たちの身を守ってくれる機能を有しています。民間保険については、生命保険と損害保険の2種類に大きく分けられることは、よく知られているところ。最近では、医療保険、傷害保険、がん保険、介護保険といった、両者の境界領域にある「第三分野の保険」が増えているようです。わが国では、社会保険と民間保険が棲み分けて併立。それぞれ補完しあっています。


◆保険という共通の仕組み

 社会保険と民間保険。保険として、どのような共通点があるでしょうか。
 同じような危険にさらされている人たちが大勢集まり、あらかじめ保険料を出し合います。誰かが現実に事故が生じたとき、集めた保険料の中から給付を行う。こうして、危険に備え、リスクを分散する仕組み。これが、保険の定義です。
 社会保険と民間保険について、それぞれの構成要素を指標として、対比してみましょう。
 まずは、[目的]ないし原理から。民間保険は、保険原理が優先し、個人的公平性を重視。社会保険は、勤労者の相互扶助が目的。
 ついで、保険を運営する責任主体としての[保険者]。民間保険で責任主体となるのは、株式会社や相互会社。社会保険では、国、自治体や公的な団体が保険者となります。
 保険の対象となる人である[被保険者]は、どうか。民間保険では、保険会社が提示した条件を了解して保険契約を締結することによって決まります。任意加入が原則。社会保険は、法律で加入が義務づけられ、各人の意思に関係なく、事業所単位で加入しなければなりません。つまり、強制加入が原則。
 そして、保険の対象となる[保険事故]。民間保険では、保険契約に明記される。あらかじめの設計段階から、その対象、発生率、発生したときの被害の額など、統計や確率などにより予測することが大切。社会保険では、法律に規定。所得に応じて負担し、必要に応じて給付を受けることができます。
 保険事故が発生したときに、その人に給付される[保険給付]。民間保険では、金銭給付の形で行われ、これを保険金といいます。社会保険では、金銭給付のほかに、医療や介護の現物給付が行われます。
 最後に、[保険料]もしくは財政方式。民間保険では、給付水準は支払い能力に応ずるものの、完全な積立が必要。社会保険では、完全な積立は不要で、賦課方式(納税と同じ)も可能。


◆社会保険と民間保険の相違

 社会保険と民間保険について、その基本構造を対比してきましたが、その相違点についても、一部かいま見ることができました。
 その1は、保険料の負担ルールの違い。契約により加入も脱退も自由な民間保険においては、保険料は各自のリスクに見合っていることが鉄則。給付・反対給付均等の原則が成立することが生命線です。これに対し社会保険では、多くの国民のリスクを保障する必要性があり、民間保険では提供できない分野についても保障することが必須。それが可能となるのは、国が、法律で要件を定め、加入を義務づけるという社会保険制度だから。
 その2は、財政方式の違い。社会保険では、民間保険では不可能な賦課方式が採用できます。というのも、社会保険では、強制加入により新規加入者がつねに確保され、制度の継続が保障されているからです。

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