時間外・休日・深夜労働の割増賃金
Q. 中小事業主については、1ヵ月60時間を超える法定時間外労働の特別割増率(50%以上)の適用が猶予されていました。2018年に成立した働き方改革関連法による労働基準法改正により、2023年4月1日から、適用猶予が廃止されると聞いています。中小企業においては、人手不足問題は依然として深刻であり、長時間労働を抑制するのは容易ではありません。経済的負担の増加も経営上の不安材料。実務の上でも複雑な計算を必要としますね。 |
A. 改正の趣旨は、中小事業主への適用をこれ以上猶予できないほどに、労働者を長時間労働による健康問題から守ることが急務であるから、とされています。割増率をまとめると、次のとおりです。①1ヵ月の合計が60時間までの時間外労働については、25%以上。②1ヵ月の合計が60時間を超えた時間外労働が行われた場合の60時間を超える時間外労働については、50%以上。③休日労働については、35%以上。④午後10時から午前5時までの深夜労働については、25%以上。 |
◆割増賃金の支払いが必要な場合 労働基準法は、使用者が労働者に、時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合に、2割5分から5割以上の率で計算した割増賃金を支払うべきと定めています(37条、割増率令)。 ◆割増賃金の計算方法 1時間当たりの賃金額(時給換算単価)に、先の割増率(125%~175%)を乗ずることにより、割増賃金の残業単価が算出されます。割増賃金は、この残業単価に時間外、休日、深夜労働時間数を乗じて計算します。 |