「年収の壁」対策
Q. 会社員や公務員の配偶者に扶養され、保険料負担のない「第3号被保険者」の4割が、パート等で就労しているとか。 一定以上の収入になると税金や社会保険料の負担が発生し、手取り収入や世帯全体の収入が減少するため、就業調整することが問題となっています。 会社側からすると、人手不足の現在、年末になると欠勤したり、残業がさせられない等、業務に支障をきたしているのです。政府の「年収の壁」対策が昨年10月に始動しました。どのような対策でしょうか。 |
A. 今回の政府の対策は、賃上げに取り組む企業に対する助成金の支給が柱。25年に予定される抜本的改正案がとられるまでの3年間の時限措置です。働く人が「恩恵」を受けられるかどうかは、企業の事情や意向次第。壁については誤解も多く、まずは壁越えのデメリットやメリットの正確な理解が重要です。年収の壁は、厳密にいうと5つあります。税金の壁である103万円と、150万円の壁。社会保険の壁となる106万円と130万円の壁。もう1つが、企業が支給している配偶者手当です。 |
税金の壁(103万円と150万円) 税金の壁の1つが103万円。年収の「給与所得」から「給与所得控除額」(65万円)と「基礎控除額」(38万円)を差し引いた残額が課税対象となる。つまり、103万以下であれば無税。固執するのも無理はない?しかし、実際は壁を1万円超えても所得税は500円増えるだけ。収入増の大半は手取り額の増加になるのです。 ◆社会保険の壁(106万円) 社会保険に関する壁は、106万円と130万円があります。
今回の対策は、社会保険の壁対策。 ◆社会保険の壁(130万円)と配偶者手当 もう1つの社会保険上の年収の壁が、130万円。130万円以上になると、配偶者の社会保険の扶養からはずれます。自動的に削除されるのではなく、あくまでも自己申告。
ただし、106万円の壁と異なり、正規従業員の勤務日数、勤務時間の4分の3以上の勤務でないと、厚生年金には加入できません。そのため、国民年金と国民健康保険に入ることになります。 |