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労働実務Q&Aこれで解決!

育成就労制度

Q.

 外国人技能実習制度は、技能、技術または知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的として創設された制度です。技能実習法には、この制度が労働力の需給の調整の手段として行われてはならないと、明記されています。人材確保を主目的とする特定技能と大きく異なるところです。このたび、技能実習制度に代わる新しい制度が創設されたそうですね。その概要を教えてください。

A.

 日本の企業は、人手不足に対応するために外国人技能実習生を受け入れ、技能実習生は、主として日本でお金を稼ぐために働く、という実態がありました。制度の建前と本音との間にギャップがあったのです。新しく創設された「育成就労制度」は、人材確保と人材育成を目的とするもので、実態に即した見直しをしています。改正入管法は、今年6月14日、国会で可決、成立。6月21日から起算して3年以内の政令で定める日から施行される予定です。


◆制度見直しの背景

 1つは、外国人材がより一層重要になっていることです。わが国では、2040年までに1200万人の生産年齢人口が減少することが予測されており、労働力不足はより深刻になっています。一方、技能実習生や特定技能外国人が、経済社会に欠かせない担い手となっている実態も。各産業分野が生産性向上や国内人材確保のため最大限努力したとしても、なお人手不足になることは避けられず、外国人材がより貴重な労働力になっていくのは確実とみられているのです。
 もう1つは、近隣諸国、とりわけ台湾や韓国との人材獲得競争の激化です。近年、ベトナムやインドネシアにおいては、台湾・韓国が移動先上位に上昇し、日本は相対順位が低下傾向にあります。韓国では、来年度の最低賃金が1,149円となり、日本より高くなっているのが現状。このような中にあって、外国人材から、移動先としてわが国が選ばれる必要があるのです。


◆見直しの4つの方向性(有識者会議)

 第1は、技能実習制度を、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとすること。
 第2は、外国人材にわが国が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることでキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度への円滑な移行を図ること。
 第3は、人権保護の観点から、一定要件の下で本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じること。
 第4は、日本語能力を段階的に向上させる仕組みの構築や受入れ環境整備の取組みにより、共生社会の実現をめざすこと。


◆技能実習制度と育成就労制度の違い

  1. [目的] 技能実習制度は、技術移転・国際貢献が制度目的でしたが、育成就労制度は、人材育成・人材確保が制度目的となります。
  2. [在留資格] 技能実習は、「技能実習(1~3号)」という在留資格を与えるのに対し、育成就労は、「育成就労」という新たな在留資格が与えられます。
  3. [在留期間] 技能実習は1号から3号まで最長5年間ですが、育成就労は原則3年間となります。
  4. [職種・分野]技能実習は、現在特定業種(90職種165作業)で認められていますが、育成就労は、育成就労産業分野とされ、原則、特定技能と一致しています。
  5. [転籍・転職の可否] 技能実習は原則不可に対し、育成就労は一定条件の下で本人意向の転籍を認めます。
  6. [受入団体] 技能実習は「監理団体」、育成就労は「監理支援機関」になります。
  7. [日本語能力] 技能実習は原則なしですが、育成就労は日本語能力試験N5相当以上が必要です。
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