HOME >これで解決!労働実務Q&A>パート・派遣・女性>フリーランス法サイトマップ
労働実務Q&Aこれで解決!

フリーランス法

Q.

 フリーランス、つまり、企業組織に属さず、みずからの技能を提供して個人として働く人々が増えているとか。自分の能力や生活スタイルに合わせて柔軟に働くことができることや、新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が普及するなど、働き方の多様化が背景にあるようです。しかし、フリーランスには労働関係法令の適用がなく、発注事業者との交渉力や情報収集力の格差により、取引上弱い立場。フリーランスを保護する法律がつくられましたね。

A.

 フリーランス法の正式名称は、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。フリーランスと発注事業者間の取引の適正化と、フリーランスの就業環境の整備を目的としています。一般的にフリーランスと呼ばれている方のすべてが対象となるのではなく、一定の要件を満たした取引対象と取引内容のみが対象です。この法律は、2023(令和5)年4月28日に国会で可決・成立。2024(令和6)年11月1日から施行されました。


◆フリーランス法の適用対象

 フリーランス法の保護対象となるのは、特定受託事業者。「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、従業員を使用しない者をいいます。たとえば、1人で仕事をしている個人事業主や、従業員を雇っていない法人の代表者です。
 フリーランス法の主な取引対象は、特定業務委託事業者が特定受託事業者に業務を委託するケース。「特定業務委託事業者」とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者であって、従業員を使用する者をいいます。「業務委託」とは、事業者がその事業のためにほかの事業者に、物品の製造、情報成果物の作成または役務の提供を委託すること。売買や贈与などは該当しません。
 契約名称が「業務委託」であっても、働き方の実態として労働者である場合は、この法律は適用されず、労働基準法などの労働関係法令が適用されます。


◆取引の適正化のための措置

 フリーランスに業務を委託する事業者に対し、経済法の観点から「取引の適正化」を図るため、つぎのような措置を定めています。

  1. 書面による取引条件の明示
     発注事業者がフリーランスに仕事を発注する際は、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面やメールで明示する必要があります。
  2. 報酬支払期限の設定・期日内の支払い
     発注事業者がフリーランスから納品物を受領した場合、検査の有無にかかわらず、原則として受領日から60日以内に報酬を支払わなければなりません。
  3. 7つの禁止行為
     フリーランスに対して1か月以上継続的に業務を委託する場合、つぎの行為が禁止されています。すなわち、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し。

◆就業環境の整備を図る措置

 労働法の観点から「就業環境の整備」を図る措置についてつぎのように定めています。

  1. 募集情報の的確表示
     フリーランスを広告等で募集する際、正確かつ最新の情報を表示しなければなりません。
  2. 育児介護等と業務の両立に対する配慮
     フリーランスに6ヵ月以上継続的に業務等を委託する場合には、フリーランスが育児や介護などと仕事を両立できるよう、必要な配慮をしなければならないということ。
  3. ハラスメントを防止するための体制整備
     フリーランスに対するハラスメント行為に関し、適切に対応するために必要な体制整備などの必要な措置を講じる義務があります。
  4. 中途解除等の事前予告・理由開示
     6ヵ月以上の継続契約を結んでいるフリーランスとの契約を途中で終了する場合や、契約不更新の場合は、原則として30日前までに書面等により予告し、請求に応じ、理由を開示する義務があります。
ページトップ