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労働実務Q&Aこれで解決!

心の健康づくり

Q.

昨年(2010年)の全国の自殺者は、3万1560人で、13年連続で3万人を超える自殺者となった、との新聞報道がありました。また、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症したり、自殺したとして労災認定が行われる事案も近年増加しているとか。仕事や職業生活においてストレスをかかえている労働者の割合が高くなっています。

A.

今や、職場における心の健康づくりは、喫緊の課題です。厚生労働省は、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日)を定め、職場でのメンタルヘルス対策を進めています。「指針」では、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置を、「メンタルヘルスケア」と呼んでいます。


◆職場におけるメンタルヘルスケア

 「指針」は、事業者に対し、まず2つのことを求めています。1つは、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取り組みを行うために、衛生委員会等において十分調査審議を行うこと。もう1つは、中長期的視野に立って継続的に行われるよう、「心の健康づくり計画」を策定することです。
 そして、職場環境の改善、メンタルヘルス不調への対応や休業者の職場復帰支援等を円滑に行うために、主体別の「4つのケア」の推進を提案しています。すなわち、①労働者自身による「セルフケア」、②管理監督者による「ラインによるケア」、③産業医や衛生管理者による「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、④事業場外専門家による「事業場外資源によるケア」です。
 事業場対策としては、管理監督者が担う「ラインによるケア」が重要です。部下の身近にいるのが管理監督者だから。この場合、管理監督者には、部下への共感能力やコミュニケーション能力が問われます。たとえば、「いつもと違う」部下の様子に早く気づくこと。遅刻、早退、欠勤が増える。無断欠勤がある。仕事の能率が悪くなる‥‥等々。そのためには、日頃から部下に関心を持ち、部下の行動様式を把握しておかねばなりません。また、部下が気軽に相談しやすい環境や雰囲気を整えることも必要です。相手を受容し、話しを聴く。積極的傾聴が効果的です。心の健康問題を早期に発見すれば、産業医のところへ行かせる等の早期対応が可能となります。


◆私的メンタルヘルス実践法

 「セルフケア」が肝心であることは言うまでもないでしょう。そもそも心や魂という精神的領域は、他人や社会あるいは組織に委ねることができないものです。自分の心と体は自分でマネジメントするのが鉄則。自立、自助、自己責任を志向することです。参考までに、自分流の拙い方法論を披瀝してみます。
 その1.知的好奇心を失わないこと。アリストテレスは、「人間は生まれながらにして知ることを欲している」と言ったそうな。この根源的欲求がある限り、脳は衰えません。たとえば、筆者の専門分野は人事・労務と労働法。しかし、対象は生身の人間であり、洞察すればするほど奥が深いのです。自ずから、心理学、哲学、宗教、歴史、文芸等々と関心のエリアが拡がってゆきます。 
 その2.自己弛緩の技術に長けること。日々、自然発生する緊張をゆるめるために、人為的に弛緩を与える必要があるのです。気分転換です。私の場合、ウォーキング、登山、旅行、温泉、サウナ、マッサージ、アコースティック・ギター。寝転んで読む文庫本は、至福のとき。そして、「亡憂の名」ある酒。
 その3.心の拠りどころをもつこと。古今の優れた人物に学ぶことです。揺るぎない心の判断基準があれば、人生に迷うことはありません。私にとっての人生の師は、稲盛和夫、中村天風、安岡正篤。自己流マントラは私の心の糧です。

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