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労働実務Q&Aこれで解決!

時間単位年休

Q.

昨年(平成22年4月1日)施行された改正労基法では、時間単位の年次有給休暇の仕組みが創設されました。従来から認められている半日単位の年次有給休暇についても、改正後は時間単位の年次有給休暇制度の規制の影響を受けるのでしょうか。時間単位年休は、労使協定を締結するだけで実施できますか。また労使協定で定める事項を教えてください。

A.

半日単位の年次有給休暇は、時間単位年次有給休暇とは異なるものです。法改正後も、半日単位の年休については取り扱いに変更はありません。時間単位年休は、労基法89条1号の「休暇」に関する事項ですから、労使協定を締結するほか、就業規則の変更も必要です。労使協定に規定する内容は、対象労働者の範囲など、4項目が定められています。


◆年休の付与日数

 年次有給休暇、いわゆる年休は、労基法39条に規定されています。使用者は、6ヵ月継続勤務し、8割以上出勤した労働者に対し、10日の年休を与える必要があります。その後は、継続勤務年数が雇入後2年6ヵ月までは、6ヵ月を越えて1年増加するごとに1日を加算し、2年6ヵ月経過後からは、継続勤務1年ごとに2日ずつ加算した日数を与えなければなりません。ただし、最高20日を限度とすることができます。
  通常の労働者の年休付与日数

勤 続 年 数 6ヵ月1年
6ヵ月
2年
6ヵ月
3年
6ヵ月
4年
6ヵ月
5年
6ヵ月
6年
6ヵ月
以上
付 与 日 数 10日11日12日14日16日18日20日


◆半日単位の年休

 年休の単位は「労働日」とされており、年休取得の最低単位は、原則1日です。ただし、半日単位による付与については、使用者が労働者の半日単位の請求に応じた場合にはこれを認めると解されています(昭63.3.14基発150号)。
 裁判例においても、「有給休暇制度の目的は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図ることにあり、半日年休は、右目的を達成するのに労使双方にとって便宜かつ合目的的であることから」、使用者が進んで半日休暇を付与することを妨げないとしています(高宮学園事件 東京地判平7・6・9)。      
 法改正後も、半日単位の年休の取扱いに変更はなく、労使協定が締結されていない場合でも、半日単位で与えることが可能です。


◆労使協定で定める事項

 仕事と生活の調和を図る観点から、年次有給休暇を有効に活用できるようにするため、事業場で労使協定を締結すれば、年に5日を限度として、時間単位で年休を与えることができます。なおこの協定は、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要はありません。   
 労使協定で定める事項は、次のとおりです。
  ① 対象労働者の範囲
 対象となる労働者の範囲を定めます。「事業の正常な運営」を妨げる場合は、対象労働者の範囲を限定できます。ただし、取得目的によって範囲を限定することはできません。
  ② 時間単位年休の日数
 年5日以内の範囲で定めます。前年度からの繰り越しがある場合であっても、当該繰り越し分も含めて5日以内となります。
  ③ 時間単位年休1日の時間数
 1日の所定労働時間をもとに、1日の年休が何時間分の時間単位年休に相当するかを定めます。1時間に満たない端数がある場合は、時間単位に切り上げてから計算します。
  ④ 1時間以外の単位で与える場合の時間数
 2時間とか3時間とかいうように、1時間以外の時間を単位とする場合は、その時間数を整数の時間単位で定めます。当然1日の所定労働時間数より短い時間数で。 

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