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労働実務Q&Aこれで解決!

名ばかり管理職

Q.

 当社は、レストランおよびベーカリー、ケーキの製造販売を営むチェーン店を展開中で、現在8店舗を経営しています。各店舗の店長には、従業員の採用や労働時間の管理などかなりの権限を付与し、管理職としてこれまで残業手当や休日出勤手当を支給したことはありません。ある店長から、自分たちも世上でいわれている「名ばかり管理職」ではないのか、という疑問が本社へ寄せられています。どう答えていいものやら、困惑しています。

A.

 日本マクドナルドの店長について、時間外・休日労働の適用のない管理監督者にあたるかという問題が争われた事件で、東京地裁が「管理監督者に該当しない」として残業手当の支払いを命じたことから、いわゆる「名ばかり管理職」として社会的に問題となりました。実態がどうなっているか、個別的に判断していく外ありません。いえることは、企業の職制上の管理職と、労基法でいう管理監督者は、必ずしも同一ではないということです。 


◆管理監督者の判断基準

 労働基準法は、「監督もしくは管理の地位にある者」は、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用を除外しています(41条2号)。つまり、労基法上の管理監督者に該当すれば、残業や休日出勤をしても、割増賃金を支払う必要はないのです。
 この管理監督者に該当するか否かについて、厚生労働省は通達で判断基準を示しています(昭22・9・13発基17号、昭63・3・14基発150号)。それによると、①労務管理につき経営者と一体的立場にあり、職務内容、責任と権限等が管理監督者にふさわしいものであること。②労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超える活動をせざるを得ない重要な責務があり、自己の勤務に裁量権を持つこと。③基本給、役付手当、賞与の支給率等の待遇面について、一般従業員より優遇措置がとられていること。以上の3要件をすべて満たし、名称にとらわれることなく、実態に即して判断すべきものとされています。
 全国に展開する店舗でハンバーガーを販売する店長の管理監督者性が争われた日本マクドナルド事件で、東京地裁は、「店長は、その職務の内容、権限及び責任の観点からしても、その待遇の観点からしても、管理監督者に当たるとは認められない」としました(東京地判平20・1・28)。
 多くの裁判例においても、管理監督者の判断基準は厳格に解されています。その後、厚生労働省は、多店舗展開する小売業、飲食業等の管理監督者の範囲の適正化を図るための通達を発し、具体的な判断要素を示しています(平20・9・9基発0909001号)。


◆企業がとるべき対応

 職制上の管理職が、そのまま労基法でいう管理監督者に当たるものでないこと、管理監督者に該当するか否かは、実態で判断される、という2点が重要。少なからぬ企業が誤解しているからです。では、企業はどう対応すべきか。
 まず、残業代を払わないでよい管理職と、残業代を払うべき管理職を分け、後者について何らかの手立てを講じるべきです。
 おすすめは、残業手当の定額支給。役職手当や管理職手当に、残業手当や休日出勤手当の意味合いを持たせている会社は多いと思います。ただし、就業規則や賃金規程の定め方には、慎重な配慮が必要です。
 その1 役職手当の全額を残業手当の対価として支払う場合。就業規則には、「役職手当の支給を受ける者には、時間外、休日労働の割増賃金は支給しない」ことを明示します。
 その2 役職手当に地位や職責に相当する部分と時間外・休日労働の対価部分が含まれている場合。「役職手当中金○○○円を除き、定額残業とする」と明確に区分します。役職手当の金額について、いずれもそれなりのボリュームを要するのは仕方のないことです。

 
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