HOME >これで解決!労働実務Q&A>>解雇・退職>期間の計算方法 サイトマップ
労働実務Q&Aこれで解決!

期間の計算方法

Q.

 労基法20条の解雇の予告に関する規定によると、「使用者は、労働者を解雇する場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない」と定めています。この30日前というのはどのように計算すればよいのでしょうか。たとえば、9月30日をもって解雇したい場合に、労基法20条に規定する30日前の解雇予告の要件を満たすためには、いつまでに予告すればよいのかという問題です。どこかに法律上の根拠規定があるのですか。

A.

 労基法に特別規定はありませんから、民法の一般原則によることになります。それによると、「初日不算入の原則」により解雇予告がなされた日は算入されず、その翌日から計算され、期間の末日の終了をもって期間の満了となります。予告の日と、解雇の効力発生の日との間に、中30日間の期間を置く必要があります。したがって、9月30日に解雇するためには、遅くとも8月31日には解雇の予告をしておかなければなりません。


◆初日不算入の原則

 期間とは、ある時点からある時点までの継続した時の区分をいいます。法律上問題となるのは計算方法であり、民法に規定があります。期間を定める法令もしくは裁判上の命令に特別の定めがある場合、または法律行為において、期間の計算方法を定めたときはこれによりますが、これを定めなかった場合は、民法の規定に従います(138条)。
 期間の計算方法には2つの種類があります。1つは、瞬間から瞬間まで計算する方法で、自然的計算法といいます。もう1つは、暦に従って計算する方法で、暦法的計算法といいます。民法は、時・分・秒など時間を単位とする短期間の計算には自然的計算法を、日・週・月または年を単位とする長期間の計算には、暦法的計算法を採用しました(139~143条)。
 暦法的計算法の起算点が大事なところです。「期間の初日は、算入しない」のが原則(140条本文)。つまり、初日が完全に1日ないときは、日の端数は計算に入れず、その翌日が起算日になるのです。1日の端数は切り捨てるという意味ですから、期間の定め方で、初日が端数とならないときは、初日を算入することになります(140条但書)。
 つぎに、満了点。期間は、その末日の終了をもって満了します(141条)。期間を月または年で定めた場合、月または年の始めから計算する場合は、当然最後の月または年の末日が期間の末日となります。月または年の始めから計算しないときは、最後の月または年において、「その起算日に応当する日の前日に満了」します(143条2項本文)。たとえば、今日が9月5日であるとして、「1年後」とは、9月5日を算入せず6日から計算し、それに応当する日の前日、つまり来年9月5日の24時ということになります。民法の計算のしかたでは、間にまるまる期間があいている、ということになるのです。


◆「年齢計算ニ関スル法律」

 初日不算入の原則に対し、その特例として、初日を算入する法令は相当あるようです。私たちの日常生活に関係の深いものとしては、「年齢計算ニ関スル法律」というとてもシンプルな法律があります。
 その1項で、年齢の計算については、出生日から起算され、初日を算入することとされているのです。
 これに関連して、「保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の始めから」学校に就学させる義務を負っています(学校教育法17条1項)。したがって、4月1日生まれの人は、6回目の誕生日の3月31日の満了で満6歳となり、早生まれとして入学します。同学年の人の誕生日が4月2日から翌年の4月1日生まれの人となるのは、ここに根拠があるのです。

 
ページトップ