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労働実務Q&Aこれで解決!

労働契約の終了事由

Q.

 労働契約により、労・使双方の当事者は様々な利益を享受しており、通常、契約関係の継続を望んでいます。しかし、都合により、当事者が一方的に契約を解約することも認められていないわけではありません。ただし、解雇は労働者の生活に大きな打撃をもたらすため、強力な制限が加えられています。労働契約の終了事由にはどのようなものがありますか。それぞれの違いや法制限がどうなっているか、分類・整理していただけませんか。

A.

 労働契約の終了事由については、制限の緩やかな解雇以外の終了事由と、強い法規制が及んでいる解雇の2つに分けて考えるのがよいでしょう。まず、解雇以外の終了事由としては、①期間の定めのある労働契約の期間満了、②合意解約、③辞職、④定年制、⑤傷病求職期間の満了による終了、⑥当事者の消滅、などがあります。一方、解雇の種類としては、①普通解雇、②整理解雇、③懲戒解雇、の3つをあげることができます。


◆解雇以外の終了事由

 ① 期間の定めのある労働契約の期間満了
 労働契約に期間の定めがある場合には、期間の満了により終了します。あらかじめ契約で定められた雇用終了条件を満たしたのですから、当然です。ただし、有期労働契約が反復更新されるなどの場合には、使用者による更新拒絶に解雇権濫用規定を類推適用するという雇止め法理が判例で確立し、明文化されました(労契法19条)。
 ② 合意解約
 合意解約とは、労働者と使用者が合意によって契約を解約することをいいます。最も円満な契約終了事由です。労働者が退職願を提出して会社が承諾した場合や、割増退職金を会社から提示された早期退職優遇制度の募集に応募して辞める場合などがこれに該当します。
 ③ 辞職
 辞職とは、労働者からの一方的な意思表示による労働契約の解約です。期間の定めのない労働契約の場合、労働者は2週間前に申し入れればいつでも辞職できます(民法627条1項)。辞職の意思表示は、合意解約の場合と異なり、使用者に到達した時点で効力を生じますので、以後撤回することができません。
 ④ 定年制
 定年制とは、労働者が一定の年齢に到達したときに労働契約が終了する制度。定年到達前の辞職や解雇が格別の制限を受けない点で、期間を定めた労働契約と異なっています。就業規則などの規定を通じて労働契約の内容となると考えられます。高年齢雇用安定法は、65歳までの雇用確保措置を企業に義務づけました。
 ⑤ 傷病休暇期間の満了による終了
 休職規定が就業規則にあり、傷病から回復できず休職期間が満了になれば、自動退職(または解雇)という効果を生じます。
 ⑥ 当事者の消滅
 労働者が死亡した場合、または会社(法人格)が消滅した場合は、契約当事者がなくなったことにより、終了となります。


◆解雇による終了

 解雇とは、使用者の一方的な意思表示により労働契約を終了させるもの。解雇に対する法令上の制限は、解雇理由と解雇手続の2つがあります。解雇理由には、解雇権濫用法理(労契法16条等)による制約と、個別の法令(労基法19条等)による解雇禁止があります。解雇手続としては、解雇予告制度(労基法20条)と、就業規則、労働協約等による規制があります。
 ① 普通解雇
 普通解雇は、契約当初に約束した契約内容の債務不履行があり、契約関係を継続できないとして労働契約を解消するものです。
 ② 整理解雇
 整理解雇とは、経営不振などの経営上の理由により人員を削減するための解雇。他の2つの解雇と異なり労働者側に帰責事由がないため、判例により厳しい整理解雇法理が確立されています。
 ③ 懲戒解雇
 懲戒解雇は、制裁としての懲戒処分の最も重いもの。解雇予告除外認定制度(労基法20条)が設けられています。

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