HOME >これで解決!労働実務Q&A>いじめ・メンタルヘルス>セクハラの企業責任 サイトマップ
労働実務Q&Aこれで解決!

セクハラの企業責任

Q.

これからの戦力として期待していた若い有能な女性社員が、このたび「自己都合」により退職しました。その後、職場ではその女性が直属の上司のセクハラに悩んでいたとの噂が広まっています。上司が、その女性の胸や腰をさわるなどの行為を繰り返していた、というのです。今後、会社としてはどのような対応をとればよいでしょうか。

A.

噂話として放置せず、事実確認のために加害者や同僚からヒアリングを行うなど迅速な対応が必要です。セクハラが認定されれば、加害者への懲戒処分も検討すべきです。企業の法的責任や社会的・道義的責任は決して軽くはありません。企業のリスク管理の一環として、ある意味では危機感をもって受けとめることが必要です。


◆セクハラ予防の配慮義務

 セクハラは女性労働者本人の人間としての尊厳を不当に傷つける基本的人権の問題であり、日本人特有の男女の役割分担意識など女性差別に根源を有した古くて新しい問題です。企業にとっても、セクハラは職場の秩序を乱し、人員の士気の低下や貴重な戦力の人材流出をもたらすという、労働生産性の観点からみても由々しい問題なのです。
 男女雇用機会均等法は、事業主に対し、セクハラ防止のために雇用管理上必要な配慮をしなければならないと定めています(21条1項)。具体的な配慮事項については、指針(平成10年労働省告示第20号)が定められています。
 たとえば、女性労働者の意に反する性的な言動に対する女性労働者の対応によって、その女性労働者が解雇、降格、減給などの不利益を受けること。対価型ないしは代償型といわれているもの。いま一つは、女性労働者の意に反する性的な言動により、女性労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、その女性労働者が就業するうえで見過ごせない程度の支障が生じること。環境型といわれているもの。おたずねのケースは、以上の二類型にスンナリあてはまるものではなく、いわば地位利用型ともいうべき第三の類型に該当すると推察されます。日本では一番多いパターンなのです。 


◆セクハラの法的責任

 このようなセクハラは、当然、本人の民事上・刑事上の責任が問われます。まず、人格権を侵害した不法行為ですから、被害者が被った精神的・経済的損害について、損害賠償責任(民法709条)は免れません。刑事上も強制わいせつ罪(刑法176条)などの処罰の対象となります。
 企業の損害賠償責任を追及される例も稀ではありません。一つは、民法715条にもとづく会社の使用者責任です。判例は、上司である地位を利用するなど職務と密接な関連性を有する場合は、「事業ノ執行ニ付キ」と認められるとしています。もう一つは、契約責任としての会社の債務不履行責任(民法415条)です。会社には、「労働者が生命や身体に危険を受けないよう保護すべき」義務があり、均等法の規定もそれを補強しています。


◆リーガルリスク・マネジメント

 企業リスクのうち、法律などの法的ルールに違反することから生ずるリスクをリーガルリスクといいます。セクハラによって裁判に訴えられた場合のコスト、時間。マスコミにとりあげられる等のイメージダウン。場合によっては不買運動に発展するなど、企業にとっての損害は図り知れません。多発する企業不祥事を教訓とし、リスクを事前に回避し、マネジメントすることが賢明です。

ページトップ