介護・福祉サービスの人事制度
Q. 介護・福祉サービスに携わっている社会福祉法人です。私たちの職場は、2000年4月の介護保険制度の施行により、一変しました。社会福祉事業も「市場原理」にさらされ、従来の「運営」から「経営」への発想転換を迫られたのです。人事管理については、いまだに「公務員」準拠の年功型人事制度を引き継いでいます。有能な人材を確保し、育てていかなければ生き残れないといわれる業界。しかし、どこから手をつけたらよいのか‥‥‥。 |
A. 「経営とは環境への適応である」といわれるように、社会から淘汰されないために機敏な経営の舵取りが求められます。とりわけ労働集約型産業は、サービスを担う従業員の質が経営を左右します。年功主義の人事制度では、やってもやらなくても同じという不公平感をもたらし、挑戦意欲や能力開発とは結びつきません。従業員のやる気を高め、人材を育成し、組織全体を活性化させるための賃金・人事制度改革に何よりも早く着手すべきです。 |
◆「措置」から「契約」への変化と競争激化
2000年4月からの介護保険制度の実施により、介護・福祉サービスは、国・地方公共団体が権限によって決定を下す「措置」制度から、サービス供給業者と利用者との「契約」制度へと大きく様変わりしました。財源は措置費から保険財源へ。従来の社会福祉法人の固有領域は狭まり、医療法人やNPO団体、あるいは民間会社など、多様なサービス供給業者を相手に厳しい競争を余儀なくされたのです。
◆介護・福祉職場における経営と人事制度
第1は、組織のミッションの確立。経営トップは、組織の使命、あるいは大義を掲げ、組織内で共有しなければなりません。これを経営理念といいます。
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