◆脳の仕組みと大脳辺縁系のはたらき
人間の脳は3つの部位に分けられます。内側から、「脳幹」「小脳」、そして「大脳」です。大脳はさらに、「大脳辺縁系」と「大脳新皮質」に分けられます。
大脳辺縁系は、本能(食欲・性欲)や情動(快感・恐怖)を支配する部分であり、その上部に思考する脳である大脳新皮質が発達しました。これは脳の進化の歴史。思考する脳〔知性〕が情動の脳〔感情〕の上に建て増しされているのです。理性的な判断を下すために感情は不可欠な要素であり、強い影響力をもっています。
感情を支配する大脳辺縁系(海馬、側坐核、扁桃核などによって構成される)のメカニズムを知り、感情をかしこくコントロールする方法を知らなくてはならないのです。
◆脳を活性化させ自らを動機づける
① 仕事を好きになる
脳の中で「好き嫌い」を扱うのが「扁桃核」。「この情報がいるかいらないか」の判断は「海馬」がします。扁桃核と海馬は隣り合って緊密な情報交換をしています。好きなものを覚えやすいというのは、「扁桃核を活性化すると海馬も活性化する」から。「好きこそものの上手なれ」には根拠があったのです。好きなことを仕事にするか、そうでなければ、仕事を好きになること。好きになることが上達の秘訣。好きになれば苦もなくできるのです。
② プロ意識を持つ
海馬の役割は、情報の「ふるい」。わけても生存のために必要な情報かどうかを判断して、生存に必要なものを記憶します。「生存に必要かどうか」がキーワード。勉強でも仕事でも、生活がかかっていると自覚するのが肝心。勉強も仕事もはかどります。生活がかかっていると思うかどうかは、プロとアマを分ける分水嶺。ハングリー精神はタフネスの源なのです。
③ 理屈ぬきの行動
やる気を生み出すもとが「側坐核」。直径2ミリほどのやる気の発火装置。この神経細胞が活発になるとやる気が出ます。ただし、一定の刺激がないと活動しません。だから、やる気がしないなぁと思っても、実際にやりはじめてみること。やっているうちに側坐核が自己興奮(作業興奮)して集中力が高まり、気分が乗ってきます。まずは一歩を踏み出す。
④ 目標をもつ
自分に対する報酬があるとやる気が出ます。内発的な達成感もその1つ。達成感がA10神経という快楽に関わる神経を刺激してドーパミンという物質を出させ、やる気を維持します。快楽は脳にとって何よりのごほうび。
⑤ 思いが事を成す
思うことは現実化する。潜在意識に透徹するほどの強く持続した願望をもつと、その願望へと実現する方向へ向かわせてくれます。脳は1つのことを決めたがり、言ったことに対し脳が安定化するのです。「言葉は呪い」。だったら、未来に対していいイメージを描きましょう。
|