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労働実務Q&Aこれで解決!

パート労働者の待遇改善

Q.

 パートタイム労働者も、当然、「労働者」。したがって、労働基準法や最低賃金法等の労働者保護法令の適用を受けます。パート、アルバイト、契約社員、準社員、定時社員、嘱託など、事業場によって使われる名称はさまざまですが、法はパートタイム労働者について、「1週間の所定労働時間が同一の事業場に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義しています。そのパートタイム労働法が改正されましたね。

A.

 平成27年4月1日より、パートタイム労働法や施行規則、指針が変わりました。その1は、パートタイム労働者の公正な待遇の確保。「短時間労働者の待遇の原則」が新設され、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲が拡大されました。その2は、パートタイム労働者の納得性を高めるための措置。説明義務や相談体制整備の義務が新設。その3は、パートタイム労働法の実効性を高めるための規定の新設。労働条件の検証と見直しが求められています。 


◆公正な待遇の確保

 まずは、「短時間労働者の待遇の原則」の新設(法8条)。その趣旨は、労契法20条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)との均衡のため。
 事業主は、雇用するパートタイム労働者の待遇について、通常の労働者の待遇と相違させる場合には、職務の内容や人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないというものです。すべてのパートタイム労働者を対象とした規定であり、この原則的な考え方を念頭において、雇用管理の改善を図っていくことが要請されます。 
 つぎは、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大(法9条)。改正前は、①職務内容が正社員と同一、②人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一、③無期労働契約を締結している、という3つの要件を満たすパートタイム労働者について、正社員と差別的取扱いをすることを禁じていました。このうちの③がなくなります。
 つまり、①職務内容が正社員と同一であり、②人材活用の仕組みが正社員と同一であるパートタイム労働者については、その労働者が無期契約労働者であると有期契約労働者であるとを問わず、正社員との差別的取扱いをしてはならないことになりました。賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いが禁止されます。
 なお「通勤手当」という名称であっても、正社員に対して、距離や実際にかかっている経費に関係なく一律の金額を支払っている場合は、職務の内容に密接に関連して支払われているものとみなされ、均衡確保の努力義務の対象になります(施行規則3条)。


◆納得性を高めるための措置

 パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務が新設されました(法14条1項)。賃金制度の概要、教育訓練の種類、使用可能な福利厚生施設、正社員転換推進措置の概要等について説明しなければなりません。説明を求めたことによる不利益取扱いも禁止されます(指針3条の3の(2))。
 パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務も新設(法16条)。相談担当者を決め、相談窓口を明示する必要があります。


◆実効性を高めるための規定の新設

 パートタイム労働法の実効性を確保するための規定が新設されました。厚生労働大臣の勧告に従わない事業主の公表制度(18条2項)と虚偽の報告などをした事業主に対する過料(法30条)の創設です。

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