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労働実務Q&Aこれで解決!

未成年者のアルバイト

Q.

 最近、若者に長時間労働や深夜残業など過酷な勤務を強要したり、賃金や割増賃金の不払い、厳しいノルマとそれを達成しない場合の買い取りの強制などを課す企業が横行。「ブラック企業」になぞらえ「ブラックバイト」と呼ばれているとか。当社は、恒常的な人手不足状態にあり、この夏には、高校生のアルバイトの活用を考えています。ブラックバイトという汚名を着せられることのないよう、未成年者のアルバイト管理で留意すべきことは何ですか。

A.

 労働基準法は、心身ともに発育途上にあり、社会的に弱い立場にある20歳未満の「未成年者」について、特別の保護規定を置いています。特にその中でも18歳未満の者については、「年少者」として、労働時間や業務の内容等について特別の制限があります。さらに、「満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者」は「児童」と称され、原則として使用することを禁止。企業は、彼らを劣悪な労働環境にさらすことなく、権利を擁護する社会的使命があるのです。 


◆未成年者を雇い入れる時の留意事項

 まず労働者として使用できる最低年齢を確認しておきましょう。事業場において使用できる未成年者は、原則として、満15歳に達した以後の3月31日を終了した者(労基法56条1項)。つまり、中学校の義務教育終了時点までは、労働者として使用できないのが原則です。
 親権者または後見人は、未成年者に代わって労働契約を締結することはできません(労基法58条1項)。民法の建前では認められる親の契約締結の代行(民法824条、859条)を、労基法は、未成年の保護のために修正しているのです。賃金についても、未成年者本人に支払わなければならず、親権者、後見人が代わって受け取ることはできません(労基法59条)。 
 未成年者が労働契約を締結するには、法定代理人の同意が必要です(民法5条1項、823条1項)。いったん同意を得て未成年者が締結した労働契約についても、親権者、後見人または行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向かってこれを解除することができます(労基法58条2項)。
 満18歳未満の年少者を雇う場合には、事業場に、年齢を証明する戸籍証明書を備え付けなければなりません(労基法57条1項)。保護規定の遵守の監督を行うため必要となるのです。


◆労働時間・危険有害業務の制限

 満15歳の年度末を終了した満18歳未満の年少者の場合。原則として、三六協定による時間外・休日労働、変形労働時間制、フレックスタイム制による労働が禁止されています(労基法60条1項)。1日8時間、1週40時間の労働時間の原則を厳守しなければならないのです。
 満15歳の年度末を終了しない児童の場合。非工業的事業において例外的に行政官庁の許可を受けた場合にのみ、修学時間外に使用可能となりますが(労基法56条2項)、法定労働時間は、修学時間を通算して、1日7時間、1週40時間とされています(労基法60条2項)。
 満18歳未満の年少者については、原則として、深夜労働(午後10時から午前5時まで)は禁止されます(労基法61条1項)。さらに、児童については、深夜禁止の時間帯は午後8時から午前5時までとされています(同条5項)。
 ところで、年少者について違法な時間外労働や休日労働、深夜労働をさせた場合の賃金はどうなるでしょうか。使用者は、労基法違反であったとしても割増賃金の支払いを免れることはできません。、法定通りの支払い義務があるのです。
 加えて年少者については、心身ともに未発達であることを考慮して、労基法は、危険な義務、衛生上有害な業務、福祉の面から有害な業務について、就業を禁止しているので(労基法62条、63条)、注意が必要です。

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